宜保内科消化器・肝臓内科クリニック宜保行雄院長に聞く 夏場の食中毒注意点は

梅雨入りから10日余り。湿度や気温が高く、細菌が増えやすいこの時季に注意したいのが食中毒です。夏場に多い食中毒の種類や予防、対処法などを、松本市村井町南1の「宜保内科消化器・肝臓内科クリニック」院長の宜保行雄医師(67)に聞きました。

食品の温度管理十分な加熱を

-夏場はどんな食中毒が多いですか
食品が傷んだり、細菌が繁殖しやすい条件がそろっています。菌にもよりますが、30~37度くらいが繁殖の適温。屋外でバーベキューなどを楽しむ機会も増えますが、加熱が不十分な肉や魚介類を食べる、または暑い中それらを常温で放置するといったことで食中毒のリスクが高まります。
食中毒の主な原因はカンピロバクター、サルモネラなどの細菌性と、ノロに代表されるウイルス性の2つがあります。さらに細菌性は、細菌自体に病原性があるものと、細菌の出す毒素が原因になるものに分けられます。
毒素が原因の場合、食べてから1~5時間ほどの短時間で、激しく嘔吐(おうと)するのが特徴です。有名な「O-157」がこのタイプで、毒素が強力なうえ除去が難しく、幼児や高齢者は命に関わる場合もあります。
細菌自体を口から入れることによる感染型食中毒の場合は、6~24時間ほどたってから腹痛や下痢、吐き気が表れます。
現場の感覚として近年は、秋~冬に多いと言われてきたウイルス性が、季節を問わず増えている印象です。ノロの原因食品はカキなどの二枚貝。保存・輸送技術が進歩し、旬の時季以外でも流通するようになったことが大きいでしょう。
-予防法は
食品の温度管理に気を使うこと。生鮮食品はできるだけ新鮮なものを買い、速やかに帰宅して、すぐ冷蔵庫へ。持ち運ぶときは保冷剤や保冷バッグも活用しましょう。
食べ残しも同様に、室温で放置しないこと。もったいないと感じても、怪しかったら思い切って捨てる勇気が必要です。
調理の際は清潔な手で清潔な器具を使い、しっかり加熱することを守って。特にウイルスは冷凍では死滅しません。貝類は生煮えにならないよう十分火を通してください。
-感染を広げないためには
ウイルスは感染力が強く、家庭や学校、施設などで人から人へと拡大するので厄介です。感染者の嘔吐物や便を片付ける際は、使い捨ての手袋とマスクを着け、ペーパータオルなどで静かに取り除きましょう。使用後は、汚れた衣服などと共にビニール袋に密閉して捨てるのがベストです。
便や吐いた物で汚れた床やリネン類などは、アルコール消毒だけでは万全とは言えません。次亜塩素酸ナトリウム消毒液(作り方は別記)で覆ってしばらくおくか、浸すようにペーパータオルなどで拭いて消毒してください。
どうしても捨てたくない衣類などは、汚物を取り除いた後、同じように消毒液に浸け置きしてから洗濯するといいでしょう。色柄物は、スチームアイロンでの熱消毒(95度で1分)も有効です。トイレのドアノブや便座なども消毒液で除菌するといいでしょう。
-食中毒かなと思ったら
代表的な症状は、腹痛、吐き気、嘔吐、発熱、下痢。症状が重い場合はすぐに医療機関で受診してください。
その際、食べたもの、食品の包装、店のレシート、吐いた物が残っていたら保管しておくと、食中毒の原因を調べるのに役立つ場合もあります。
症状が軽くても、下痢止めの薬は、毒素などを体内にとどめることになってしまうため飲まないでください。どうしても仕事や学校を休めない場合は、整腸剤を飲み、スポーツドリンクで水分補給をしてしのいでもいいです。食事はおかゆなど消化器に負担をかけない物を取ってください。
炭酸飲料やコーヒー、お酒といった刺激物を避けるのはもちろん、牛乳も下痢を悪化させてしまうので避けてください。

(長岩将弘)


投稿者: mgpress