誰もが気軽に外食 「食のバリアフリー」を


長野市の山本さんと熊本さんイベントで初出展
楽しみながらお弁当メニュー考案

病気や体質、年齢的な理由で、「食の制限」がある人たちが、気軽に外食を楽しめるようにしたいという取り組みをしているお母さんたちがいます。23日に長野市で開く体験型福祉イベント「ハピスポひろば」で、「食のバリアフリー」のブースを初出展する山本里江さん(48、同市)と熊本文さん(42、同)に話を聞きました。
2人が取り組んでいるのは、食物アレルギー、嚥下(えんげ)が難しい、離乳食期など、さまざまな理由で外食が難しい子どもたちが食べやすいお弁当作りです。
山本さんは、フリーランスで企画営業を得意とするお母さん。今回の企画はレット症候群の次女(14)を育てている経験からです。5歳の時に診断されたレット症候群は、ほとんどが女の子に発症する神経、運動系に障害がある難病。特に食べ物に制限があったわけではないものの、小学5年生の時に大量に嘔吐(おうと)。病院で検査してもらったところ、食事の形態がおなかの状態に合っていないことが分かりました。
病院で食事の形態を変える必要があると指導を受け、そこから山本さんの軟らかい食事作りが始まります。「次女の場合はかむ動作はあるのですが、口の中ですりつぶすのが難しいんです。ただ、完全にすりおろしたペースト状にしてしまうと咀嚼(そしゃく)機能が落ちてしまうので、ペーストしたものを固めて弾力があるものにしています」と山本さん。軟らかい食事といっても、すべて同じ状態ではないことが分かります。
普段の食事は自宅で作っていますが、困るのが外出する時。お弁当を持参して、入ったお店の許可をもらって温めてもらうそうです。もっと気軽に外食を楽しみたいなと、ゆめさぽママ@ながのが昨年11月、飯山市で開いた「妄想会議」で発言したら、離乳食期やアレルギーを持つ子どもの家族も外食の困難を抱えているという話が出ました。それなら困っている人たちのために何かしたいなと思っていたところ、千曲市の「ごちゃまぜカフェ」で、「ハピスポひろば」でお弁当を出したいという話を聞きます。誰かが手伝ってくれたらできるかも、とSNSでつぶやいたところ、協力してくれる人が10人集まってきました。アレルギーを持っていたり、ビーガン(完全菜食主義者)食の教室をしていたりと、それぞれの強みを生かしてのチームになりました。
お手伝いに名乗りを上げた1人が、熊本さん。出産後に体質が変わり、乳製品と小麦のアレルギーを発症し、洋食系の外食が困難になってしまいました。もし洋食のレストランに行ったら何が食べたいかな、と思いながらメニューを考えたそうです。
「体質が変わってから、添加物にも体が反応するようになって、食べるものを選ぶのに慎重になりました」と熊本さん。食べ物が体調にも反映することも分かったと言います。「でも、ファストフードやコンビニのお弁当もおいしいし、便利。何かがだめというのではなく、選択肢の中に今回のお弁当も加われば、いろいろな人が気軽に外食を楽しむことができるのだと思います」
今回のお弁当は、高齢者、カロリー制限のある方にも対応できそうです。「本当にこんなメニューを提供してくれるレストランがあればいいね」と言いながら、自分たちが準備を楽しんでいる姿がすてきでした。
(桜井一恵)

洋食メインにレシピも無料で100食提供

山本さんたちが「食のバリアフリーコーナー」を出展するハピスポひろばは、今年で9年目となる体験型福祉イベント。子どもや若者に障害のある人や高齢者への理解を深めてもらい、当事者の自己肯定感、社会参加意識を上げることが狙いです。絵本やおもちゃで遊べるスペースや飲食店があり、コンサートが行われ、誰でも楽しめる内容になっています。
山本さんたちのブースでは、アレルギー除去が必要な人がなかなか食べられない、洋食をメインにしたお弁当を、レシピとともに無料で100食提供(子ども優先)。同じメニューでも、食事の軟らかさを変えてムース食(食材を液状にしてトロミ剤などで固めた料理)、ペースト食(食材を刻んだり、すりつぶしたりした料理)、離乳食に形態を変えることができます。7大アレルギー(小麦、卵、乳、エビ、カニ、そば、落花生)を除去し、ベーキングパウダー以外の食品添加物は不使用、調味料も必要最低限に抑えています。
中でもイチオシなのは「チーズ風ハンバーグ」のチーズと「見た目チーズケーキ」。乳製品の代わりに大豆製品を使用し、作り方も意外とシンプル。「なんちゃって卵」の黄色はカボチャで表現するなど、見た目にも工夫を凝らしています。
1人でも多くの人が、見て、触れて、感じて、知ることができたら、視野が広がり、アイデアが生まれ、もっと人にやさしい社会が生まれるきっかけになるのではないでしょうか。
ハピスポひろばは23日午前10時~午後4時、長野市若里のビッグハット、入場無料。問い合わせは電話026・273・5592(ごちゃまぜカフェ)。「食のバリアフリー」の問い合わせは山本さん、メールd1.r.0317.y@gmail.com
(冨田琴美)


投稿者: mgpress