今回は、見通しを伝える手順書の応用編です。
自閉タイプの人は、突発的な想定外の出来事が起きると混乱しやすかったり、一度嫌な出来事があると、そういうことが起き得るシチュエーション自体を丸ごと避けようとしてしまうことがあります。
嫌なイメージが強烈に残っていると、口頭で「そういう時はこうすればいいよ」などとなだめたり対処法を教えたりしても、受け入れにくいこともあります。そんな時はくどくど説明するよりも、手順書・説明書で視覚的に対処法を伝えると、イメージが入りやすく納得してくれることをしばしば経験します。
例えば、Aちゃんはいつも通っているピアノのレッスン中に、部屋にハチが入ってきて怖い思いをしました。あまりにも怖かったので、翌週はピアノ教室に行っても部屋に入ることができませんでした。
「窓を閉めておいてもらうからハチは部屋に入ってこないよ」「もしハチが出ても殺虫剤があるから大丈夫だよ」などとなだめても、「もう、ピアノやめる!」とかたくなです。そこで、絵と文字=図=を示しながら、(1)もしハチが出た場合は、(2)「先生!ハチがいます」と言うと、(3)先生が殺虫剤でハチを退治してくれます|と説明したところ、すんなりと納得してピアノ教室に通えるようになりました。
嫌なイメージを強く持っていると、口頭で説明してもなかなかイメージを置き換えることが難しくなって理解しづらくなることがあります。そんなとき、具体的な対策などを文字やイラストを使って示すことで、頭の中に対策マニュアルが構築できて、安心して行動しやすくなるのです。
【なないろキッズ】 #22 視覚的に対処法伝えて
- 2019/06/25
- 小児科医・新美妙美のなないろキッズ