前半戦振り返り今後を展望 得点力の不足深刻

昨季はJ2で初優勝し、今季は残留を目指して4年ぶりのJ1に挑んでいる松本山雅FC。リーグ戦のシーズン折り返しに近い16節・横浜M戦(22日)で敗れて4勝4分け8敗、勝ち点16で16位とJ2降格圏に足を踏み入れた。最下位との勝ち点差はわずか3と、苦しい戦いが続いている。ここまでの戦いを振り返りながら、今後を展望する。

今季の山雅は開幕戦は引き分け、2節で初勝利とまずまずの滑り出しを見せたが、3節から浦和、広島、川崎と昨季の上位勢に3連敗し、2桁順位に転落。そこから下位に2勝1分けと持ち直す気配を見せたが、9節以降はわずか1勝でじりじりと順位を下げた。名古屋を1─0で破った13節を最後に1カ月以上、勝利から遠ざかっている。
浮かび上がるのは、深刻な得点力不足。総失点19は5位の札幌、10位の浦和と並んで7番目に少ない一方、総得点8は最下位の鳥栖と並びリーグ最少だ。
ここまで無得点は9試合。3得点以上した試合はなく、2得点さえわずか1試合にとどまる。今季新加入で左サイドに定着した高橋は「今はまだ、手応えより課題が多い。特に攻撃の質はまだまだ」とし、「ある日突然、よくなることはない。細かい意識の改善も含め、日々の積み重ねを怠らないことが大事」。
5節以降、主にボランチで先発を続ける宮阪は「よい守備ができている時は高い位置で相手がファウルし、流れでシュートまで持っていけてもいる。得点のチャンスを増やすためにも、よい守備を続けることが必要」と力を込める。
前回J1で戦った2015年シーズンを知る飯田は「当時と比べてチーム力が上がり、自分たちがやれることの幅も広がった。だからこそ相手の強さが分かったり、長所を出させてしまったりする難しさも感じる」と言う。
15年は中盤以降に7連敗を喫するなど苦しみ、第2ステージ5節(現22節に相当)で降格圏に転落して以降、巻き返すことはできなかった。同じ轍(てつ)を踏まないために、「境界突破」への挑戦は正念場を迎えている。
(長岩将弘)

全員攻撃で得点へ道筋を
苦戦は想定内も守備に大きな崩れなく

16試合で得点は8

J1リーグは次節で折り返し点に到達する。4年ぶり2度目のJ1に挑んでいる山雅は、2015年に果たせなかったJ1残留、そして定着のために多くの新戦力を獲得したとはいえ苦戦は免れず、現状の成績は想定の範囲内だろう。
ここまでの戦いぶりは、チーム総得失点の数字から一目瞭然だ。守備は16試合で19失点と、5失点を喫した12節の鹿島戦を除けば大きな破綻を見せていない。最終ラインは負傷による顔触れの変化もあったが、橋内、飯田、今井の3人が安定した働きでチームに貢献した。
加えて高い位置からのフォアチェックも効果を表し、堅守の目安となる「1試合1失点以下」には届いていないが、悪くない数字といえる。
一方、攻撃面に課題が。リーグ最少タイの8得点は、勝ち点が伸びない大きな理由の一つだ。チーム最多得点は2得点のレアンドロペレイラで、複数得点しているのは1人だけ。
得点力不足の要因は▽流れの中でのチャンスが少ないこと▽シュート数で対戦相手を上回っても、フィニッシュの精度が低いこと▽J2で強みとしていたセットプレーを武器にできていないこと─など。
ただ、16節でゴールを許した横浜Mのエジガルジュニオのように、ワンチャンスを確実に決める能力を持つFWは、J1でも限られる。「全員攻撃、全員守備」をコンセプトにする山雅としては、これからも得点に至る道筋を、チーム全員で見いだしていく必要がある。

トップ15へ巻き返しを

今季のJ1の降格に関するレギュレーションは昨季と同様、17位と18位はJ2に自動降格し、16位はJ1参入プレーオフ(PO)に参加することになる。残留確定には15位以上=「トップ15入り」を果たす必要がある。
直近3季のJ1の残留争いを見ると、そのハードルが上がり続けているのが分かる。16年は勝ち点31、17年は33あれば残留できたが、昨季は勝ち点41を獲得した磐田が16位となり、J1参入POに回っている。
1位の川崎が勝ち点69(17年は72)に終わるなど、全体的なレベルアップによるもので、最終盤まで見応えがある上位争い、あるいは下位争いが行われるようになった。
昨季を基準にすると、ここまで勝ち点16の山雅は、残り18試合で勝ち点26を積み上げる必要がある。反町監督も「前半戦で勝ち点20はいきたかった」と話し、現状は物足りない数字であることを認める。
その上で「われわれの目標は「トップ15」に入ること。それに向けて、何とかはい上がっていく“松本魂”を見せたい」と、後半戦での巻き返しを誓う。
22日の横浜M戦は悪天候にもかかわらず、約3300人の山雅サポーターが敵地へ駆け付け、熱い声援を送った。苦しい戦いは続いても、後押しするファンやサポーターの熱は下がらない。その熱に応えることができるか。夏場以降の戦いに、チームとしての真価が問われる。
(フリーライター 多岐太宿)


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