こやま内科クリニック小山関哉院長に聞く 長引く咳の対処法は?


痰が出ているかが重要

私ごとで恐縮ですが、寝不足が続いた6月上旬に風邪をひきました。痰(たん)は1週間ほどで収まったものの、咳(せき)は2週間続き、隣に座る同僚にそのことを話すと、やはり風邪の後、3週間ほど咳に苦しんだそうです。咳は誰でも経験しますが、長引いたときはどう対処すればいいのでしょうか。こやま内科クリニック(松本市北深志2)の小山関哉院長(61)に聞きました。
-私は発熱した3日後に診療所に行きました。この判断は正しかったのでしょうか。
受診するタイミングは、風邪のひき始めから2週間たったころが目安と考えてください。もちろん激しくせき込み、ゼーゼー、ヒューヒューという音が出るようなら、2週間を待たずに受診してください。
風邪のほとんどはウイルス感染です。インフルエンザには抗インフルエンザ薬がありますが、そのほかのウイルスには特効薬がありません。
熱が出た、喉が痛い、咳や痰が出るなど「風邪をひいた」と思ったとき、その多くはいわゆる“軽い風邪”で、薬を飲まなくても安静にしていれば自然に治ります。医療機関を受診しなくても問題ありません。水分を十分に取り、体を温かくして静養すれば、症状は軽くなっていくはずです。
熱が下がれば、体がウイルスに勝ったという証拠。ただ、高熱で動けない、食欲がないなど生活に支障があるようなら、風邪薬や解熱剤などの助けを借りてもいいでしょう。
問題は、いつまでたっても咳や痰などの症状が軽くならない、あるいはどんどん悪化するなどの場合で、こうした時はぜひ受診してください。レントゲン写真を撮って肺の状態を見る必要があります。
-咳止めの薬を飲んでもなかなか改善しない人がいます。
咳が出ているとき、痰も一緒に出ているかが重要です。色の付いた痰が出ている場合、それは体が痰と一緒にウイルスを外へ出そうとしている証し。咳は痰を出すための重要な反射運動なので、咳止めの薬を飲むとかえって症状を長引かせることがあります。
痰に色が付かなくなったり収まったりすれば、快方に向かっていると考えてよいでしょう。
痰が絡まない咳でも、長く続くようなら受診してください。ウイルスが気道の細胞を傷つけることにより、冷たい空気やたばこの煙、運動などちょっとした刺激で咳が出ます。
夜間から明け方にかけて咳がひどくなる、ゼーゼーするなど症状が悪くなった場合は、気管支を広げる薬を服用した方がいい場合があります。
-風邪の予防法は。
体力を落とさないことです。よく食べ、しっかり寝て、疲れを残さないのが感染症予防で一番大事。大概それができないから風邪をひいてしまうのです。
寒暖の差が激しい時期は免疫力が落ちる可能性があるので、服装に気を付けましょう。寝るときも、朝方は布団を掛けて体を冷やさないように。
忘れてはいけないのが「咳エチケット」。咳や痰が出ている人はマスクをしたり、咳こみそうになったらタオルで口を押さえるなどして、ウイルスをまき散らさないでください。
よく感染予防としてマスクをする人がいますが、残念ながらウイルスの侵入はほぼ防げません。医療用のマスクは別として、ほとんどは顔との間に隙間ができてしまうからです。
手洗いは大事ですが、うがいは風邪の予防としてはほぼ効果がないといわれています。ウイルスに感染した直後のうがいには意味がありますが、外出先から帰ってきた後ではウイルスはすでに気道の細胞に入り込んでしまっていて、うがいで洗い流すことはできません。また、ウイルスは鼻腔(びくう)からも侵入します。
咳は日常のありふれた症状ですが、2週間以上続くときは念のため検査しましょう。肺炎、結核、ぜんそく、肺がんなど、何か潜んでいる病気があるかもしれません。
(松尾尚久)


投稿者: mgpress