松本でカフェオープン 「ハラルフード」食文化を知って


最近耳にすることが多くなった「ハラル(ハラール)」「ハラルフード」って何だろう?そんな疑問に答えてくれたのは、マレーシア出身のムスリム(イスラム教徒)で、4月から松本市中央3に「KayuManisHalalCafe(カユマニスハラルカフェ)」を開いているイダユー・ソフィアさん(36)だ。
「『ハラル』とはイスラム法で『合法なもの』の意味。『ハラルフード』とは、イスラム教の戒律によって食べることが許された食べ物のこと」という。
来年の東京五輪に向け、インバウンド(海外誘客)の対応が進む中、中信地域ではどれくらいムスリムに向けた「ハラルフード」が普及しているのだろう。「ハラル」に詳しい人や店に聞いてみた。

ハラル認証材料で料理

「カユマニスハラルカフェ」を開いているイダユー・ソフィアさんは、2003年にマレーシアから新潟大学(新潟市)に留学。卒業後は山梨県の企業で働き、11年に夫と共に松本へ転勤。子育てのために会社を辞めたものの、得意の料理の腕を生かし、ハラルフードを提供できるお店をと考えていた。
メニューは、ココナツミルクで炊いたご飯に甘辛いソースを混ぜて食べる「ナシレマッ」、チキンカレーに麺を絡ませて食べる「ミーカリー」など、マレーシアの味。日本人の口にも合うように、工夫したとイダユーさんは話す。
イスラム教では「豚肉(豚由来の食品や添加物を含む)」「血液」「酒類」「イスラム法にのっとって食肉処理されていないもの」などは口にしてはならない。ここでは、戒律に従って製造したことを示す「ハラル認証」の材料を使い、厳密な食文化を持つイスラム教徒たちが、気軽に立ち寄れて会話ができる場所をつくった。数は少ないが日本人のイスラム教徒や、東南アジアを旅してきた人などが立ち寄るという。
イスラム教礼拝室もある。礼拝は1日に5回。礼拝室では天井にメッカの方角が示され、祈りの前に手足などを洗い身体を清める洗面所も用意している。礼拝室は県内では限られていて、カフェと併設は珍しい試みだ。電話0263・87・8122

ムスリムへ取り組みも

数は少ないが、ムスリム向けの対応の取り組みも広がりつつある。
食事のケータリングサービスや飲食店の経営などを行うアルプスシャツ(松本市埋橋1)は、同社の運営する長野道下り線梓川サービスエリア「レストランあづみ野」(同市島内)に、礼拝スペースを設け、予約制でムスリム向けの食事を提供している。マレーシアからの観光客に好評、という。
同社の渡辺聡社長(59)は2015年、県内でも先駆けて、ハラルへの理解を広めようと、「ムスリムフレンドリーながの」を結成。松本、大北地方の観光関連業者が連携し、ムスリムの誘客に乗り出した。隣接する岐阜県高山市に比べて対応が遅れ、観光客が流れてしまうことに危機感を感じての取り組みだ。
戒律で食べるのを禁じられた豚肉やアルコールを排除した「ムスリムフレンドリー」な食事メニューを共同で開発し、ハラルフードの提供などに取り組んでいる。
「同じムスリムでも、個々に戒律順守の意識は異なる。中東のムスリムはハラルについて厳格だが、東南アジアでは緩やかな面もある。ケースバイケースで対応しなければならないのが難しいが、やりがいのあるところだ」と渡辺社長は話す。
6月20日には、安曇野市商工会がホテルや飲食店などを対象に、「ハラル」や「ムスリム」についての勉強会を開いた。世界の人口の4分の1を占めるとされるムスリムに関する知識を学び、誘客につなげる狙いだ。
「ハラル」に詳しいホテルアンビエント安曇野(安曇野市穂高牧)の和食料理長、正木裕治さん(52)が、ムスリムの食事や習慣、もてなしの方法を解説した。
正木さんは「来年の東京五輪、パラリンピックに向けて県内でも外国人観光客の増加が見込まれる。まず習慣を知ってもらい、県内でもムスリムの方が楽しんで観光してもらえるようにしたい」と笑顔で話した。
食の理解は、相手の文化や社会の理解にもつながる。相手が大切にしているものを知ることで、互いの距離はもっと近くなるだろう。

(渡辺織恵)


投稿者: mgpress