映画館ない安曇野で上映会 28日“シネマ伝道使”河崎さん開く


安曇野市で俳優養成塾「あづみのアクターズアカデミア(AAA)」を主宰する映画監督の河崎義祐(よしすけ)さん(83、有明)。昨夏から始めた「あづみ野シネマフェスタ」を、今年も28日に安曇野市穂高交流学習センターみらいで開く。
「映画館のない地元で、海外の秀作映画の上映会を」と発案し、映画館東座館主でシネマコラムニストの合木こずえさん(60、塩尻市)の協力を得て開催。初回は「始球式の思い」だったが、インド映画「きっと、うまくいく」の上映と関連イベントは、会場がほぼ満席という上々の滑り出しとなった。
“シネマ伝道使”を自称する河崎さんは「見る側の思いを知ることができて貴重だった」と語る。今回はユーモアと活力にあふれるイギリス映画を上映するのを楽しみにしている。

素晴らしさ伝えたい思い強く

1年に1度“出前”活動
シネマ伝道使をうたう河崎義祐さんは、70歳を過ぎて安曇野へ移住。地元の子どもたちの演技に触発されて、俳優養成塾「あづみのアクターズアカデミア(AAA)」を開設し、俳優や語り部養成、こども映画教室などに取り組み、演技と表現の種をまく活動を行ってきた。80代になって気にかかり出したことは「地元の皆さんに映画の素晴らしさ、楽しさをちゃんと伝えただろうか」という反省だった。
福井県出身の河崎さんは東宝に入社後、宣伝部、助監督を経て監督になった。当時、映画産業は不況で、新人監督が置かれた状況は厳しく、人材、機材の予算は削られた。アイドル映画を手がけることが多く、“お子様ランチメーカー”と呼ばれても、「今は小学生の彼らが大人になって映画館に来てくれるように」と祈りながら映画を製作した。主な作品は「青い山脈」(1975年)「あいつと私」「若い人」「青春グラフィティスニーカーブルース」など。若い俳優との作品が続いた。
東宝との専属契約が切れフリーになってからは、仕事の傍ら世の中への恩返しとして、昔の映画の出前サービスのボランティアを開始。1人でスクリーンと映写機を車に積んで、映画館に行けない病者や高齢者の個人宅、老人ホームなどで上映し、大いに喜ばれた。
のちに賛同者とNPO法人「シネマネットジャパン」に発展させ、全国を回り、約10年間で585回上映。2005年、文化庁から「第3回映画功労賞」を受賞した。しかし、体を壊し、後継者にまかせて退いた。
安曇野に来ても、映画への思いは変わらない。「フェスタは1年に1回ですが、安曇野へのシネマ伝道使の出前活動のつもり」と河崎さんはほほ笑む。

作品深めるステージも
プログラム(3部構成)を河崎さんの解説とともに紹介する。
1部「輝ける人生」(2017年、原題「findingyourfeet」、114分)上映会(午後1時半~3時25分)
恵まれた妻の座にいたヒロインは、長年連れ添った夫が「ナイト」の称号を与えられるや、自分の親友との浮気が発覚。家出した妻は、貧しくともダンスと音楽と仲間に囲まれた生活に幸せを見いだし、自由な生き方へと“脱皮”するという物語。
英国のトップ俳優と元プロダンサーが披露する見事なダンスが見もの。72歳のリチャード・ロンクレイン監督は「勇気さえあれば息苦しい世界から抜け出せるという真理」を教える。「残り少ない『これから』を心豊かにどう生きるのヒントがいっぱい」と河崎さん。
2部ダンスステージ(午後3時35分~4時5分)
中信地方の別々のサークルに属するダンス歴20年以上の50~70代の男女8人がフェスタのためにチームを結成。映画にちなみ「シャイン・ダンサーズ」とネーミング。映画のシーンと同じ曲目も披露の予定。塩尻市でのレッスン日に打ち合わせに訪れた河崎さんに、メンバーは「私たちも映画のようにダンスから生きるエネルギーをもらってます」。
3部河崎さん、合木さんとゲストの英国出身のジュリア・グリーフさん(41、生坂村)によるスペシャルトーク(午後4時10分~5時)
ジュリアさんは来日して約20年、信州の田舎を愛し、穂高公民館などで英会話講師として活動している。英国の映画や社会、文化について語り合う。河崎さんは、今も貴族階級がある英国社会についてジュリアさんに聞きたいという。

(谷田敦子)


投稿者: mgpress