朝日村の養殖ヤマメ復活へ 地域おこし協力隊 山田喜孝さんが活動

かつて朝日村の特産品で、さかんに養殖も行われていたヤマメ。近年は養殖に携わる人がいなくなっていたが、復活させようとする動きが出てきた。活動の中心は、村地域おこし協力隊の山田喜孝(よしゆき)さん(61、針尾)だ。
愛知県出身の山田さんは、昨年7月に着任。御馬越で数年前に廃業した養殖施設を借り受け、ヤマメの養殖を始めた。イベントに出向いて炭焼きを販売したり、つかみ取りを企画したりといった活動もしている。
販売すると「懐かしい」「昔は、よく買って食べたもんだ」とうれしそうな顔で買っていく人が多く「ヤマメになじみがあった地域だと改めて実感した」と山田さん。「何年かかるか分からないが、まずは土台を作り、さらに次の世代につなげたい。そのために村に来た」と熱く活動している。

「昔は食べた」地域文化を実感
ヤマメ復活を目指す地域おこし協力隊員 山田喜孝さん 朝日村

念願の仕事村も後押し

愛知県で、建築や不動産関係のサラリーマンとして働いていた山田喜孝さん。もともと魚好きで、20代の頃から渓流釣りを趣味としていた。
50歳の時、知人が根羽村でアマゴの養殖業を継ぐことになり、「誰か手伝ってくれないか」という呼びかけに手を挙げた。3年ほど働いて渓流魚の養殖のノウハウを学び、つかみ取りなどのイベントにも携わってきたが、オーナーとの意見の相違から3年で退職。愛知でのサラリーマン生活に戻った。
「自分で養殖の仕事にチャレンジしたい」と、もんもんとしていた4年ほど前、松本市の知人から「朝日村というところに、ヤマメの養殖を廃業した施設がある」という話を聞いた。訪れてみた場所を流れる川は、ヤマメの自然の生息地域。すぐに「養殖業に利用したい。施設を貸してほしい」と申し入れた。
初めは断られたが、ヤマメの養殖産業復活などを視野に入れた村が後押しし、昨年、地域おこし協力隊に任命された。申し入れから3年で事態が動き始め、念願の「せせらぎ山女魚(やまめ)園」を開業した。
赴任当初は「配管工事や修繕など、魚が飼える状態にするために目の前のことを一生懸命にやっていたら、あっという間に半年が過ぎた」という。秋には活動のデビューとして「朝日村大博覧会」に出店し、塩焼き200匹を完売と大好評。年末には注文販売をしたところ、用意していた700匹を完売した。
購入する人たちが次々と訪れ、「昔はよく食べた」と懐かしそうに話す様子に「ヤマメは、この地域の文化だった」と改めて実感。「それも、過去にここで養殖をしてきた人たちがつくり上げたもの。そんな中に入ってこられた自分はラッキーだ」と感じたという。
今年4月からは、1万匹の稚魚を仕入れて養殖をスタート。まだ販売するまでには育っていないため、現在は成魚を仕入れて販売などを行う。「夏の思い出づくりに一役買えれば」とつかみ取りを行うスペースを設けた。
「自分で取った魚は格別。『普段魚を食べない子どもが、ぺろりと2匹食べた』という話を聞くこともあり、すごくうれしい」と山田さん。村内外の人の気軽な利用の他、キャンプ場利用者のイベントや食料調達にも利用してもらえればとしている。

広がる活動特産へ意欲

それらの活動に刺激を受け「自分も焼いて販売してみたい」と名乗り出る人も現れた。「こうやって関わる人の輪が広がれば、ヤマメの文化が広がり、自分も養殖に力を注ぐことができる」と山田さん。
「好きなことをやらせてもらい、ヤマメを食べた人たちが『うまかった』と喜んでくれる。いいところに来たと縁を感じる。何年かかるか分からないが、肉厚で味の良い、いい魚を作り、村の特産ブランドになるほどのヤマメを育てたい」と意欲を燃やす。
つかみ取りは完全予約制で9月1日までの毎日、午前9時~午後5時。2ブースあり、1ブース10人まで(40分程度)。ヤマメ5匹2000円、10匹4000円。取った魚は串打ちや塩焼きで持ち帰れる。
(上條香代)


投稿者: mgpress