偏食になる理由の一つに感覚の強い偏り、過敏さがあります。味、食感、臭い、見た目などが、その子にとっては恐怖を伴う抵抗感があるのです。
食感を一つとっても、口の周りに付く感触、舌に触れる感触、歯触り、のみ込む際の感触などこだわりポイントはさまざま。また、イチゴの表面にあるつぶつぶの集合に恐怖心を覚えるといった、見た目で苦手に感じる場合もあります。
一般の人でも、例えばアルミ箔(はく)をかんでしまうと、背筋がぞくっとするような嫌な感じがありますよね。葉野菜をかんだ時の歯触りがそれと同じように感じるとしたら、「野菜は食べられない」というのもうなずけると思いませんか?
偏食のお子さんにとっては、多くの人がそんなふうには感じない感覚の偏りが強すぎて「これは無理」と感じてしまい、その恐怖感から身を守る行動が偏食につながっているのです。
もし、目隠しをされて勝手に食べ物を口に入れられ、その中にランダムにアルミ箔が入っているかもしれないとしたら、口を開けることに不安を感じてしまうでしょう。偏食のお子さんにとっては、そのような状況が日常的なのです。
だから「これは大丈夫」と安心できる食べ物だけにこだわり、それ以外の過去に嫌な経験のある物と似ている物、食べたことのないよくわからない物に恐怖を感じて、拒否するということが起こってきます。
ですから、偏食を改善するキーワードは「本人の納得と安心」です。無理強いされるような状況がなく、本人が選んで納得して安心して食べられる環境を設定していく。その中で、「これは大丈夫」と思える物を増やしていく取り組みが大切になってくるのです。
【なないろキッズ】 #25 偏食改善「納得と安心」が鍵
- 2019/08/20
- 小児科医・新美妙美のなないろキッズ