街をあげて開催へ準備 24・25日に木曽の手仕事市 地元出展者に思い聞く

「木曽の手仕事市」は、木曽町福島の街なかを歩行者天国にして開かれるクラフトフェアだ。12年目の今年は全国から過去最多の189店が出展して24、25日、クラシック音楽祭「木曽音楽祭」に合わせて開かれる。
手仕事市最大の特徴は、住民手作りという点。主催は住民や地元作家でつくる実行委員会。住民は自宅ガレージ、地元企業は従業員駐車場などを出展者に提供。店や自宅の軒先を出展者に貸し出し、空き家・店舗も開放する。取材に訪れた日は、普段閉まっている酒蔵を掃除し、展示会場にする準備を進めていた。
2日間で延べ200人がボランティアとなり、出展エリアや来場者用駐車場(6カ所)で車の誘導をするなど、街が一体となってイベントを支える。住民や地元出展者に思いを聞いた。

心温まる運営 作家間で評判

木曽の手仕事市には上町(かんまち)、本町、上の段、八沢(やさわ)の4エリアに、木工、漆、布、革、陶、金属、ガラスなどさまざまな素材の作り手が全国から出展。主催する実行委員会は300を超える応募の中から出展者を選び、出展や駐車の場所を決める。
4人の子育てをしながらビーズの装飾品や布小物などを作り、13年から出展する下戸美香さん(38、同町新開)は、今年初めて実行委に加わった。「これまで楽しく出展させてもらっていた。これからは少しでも運営側の力になり、恩返しできたら」
会期直前には、住民が自家用車や社有車を会場から離れた場所へ移動させ、出展者の駐車スペースを作る。また、1日中屋外にいる作家にお茶を差し入れるなどサポート。旧宿場街ならではのもてなしの心が温かな空気をつくり出す。
「作家の間で評判が広まり、応募が増え続けている。それがまた住民の誇りになっている」と古畑一夫実行委員長(77、同町福島)。「福島は木曽漆器発祥の地。作り手を支える気概が受け継がれているのかもしれない」と話した。

協力隊が工房 周知の機会に

今回初出展は、上松町の地域おこし協力隊員が2月に立ち上げた工房「アゲマツ・ウッド・ライフ・メイキング(AWLM)」。工房で作るいすやカッティングボードなどを展示するほか、工房で働きながら木工作家として独立を目指す隊員4人が個人として制作した器、装飾品、玩具などを販売する。
AWLMの4人は、いずれも上松技術専門校の卒業生。卒業後に上松で活動できる仕組み作りをするほか、JR上松駅近くに木工品の展示場を兼ねたコミュニティスペースの開設を準備するなど、まちづくりに取り組む。
設立間もないAWLMにとって、手仕事市は絶好の周知の場。「木工ってかっこいいな、木曽っていいな、と感じてほしくて活動している。子どもたちに足を運んでほしい」と創設メンバーの小林信彦さん(31)=本紙「風のおと」筆者。

感性磨かれ 人生豊かに

木工房「楽」を主宰するベテラン作家、小間豊さん(69、同町新開)は10年ぶりの出展だ。わずか7店から始まった最初期の手仕事市を知る一人だ。額など小物を主に販売し、いす製作の実演も。「出展はせずとも、遊びには行っていた。手仕事市は多様性が魅力。とても楽しみ」と声を弾ませる。
小間さんは、手を抜かず、心を込めて作られたものを生活に取り入れることが、精神的な豊かさにつながると強調する。「感性が磨かれ、ものを見る目が養われる。それは幸せを感じる人生につながっていく。だから手仕事市はすごく意味のある催しなんです」

24日午前10時~午後5時、25日午前9時~午後4時。食も21店が出る。地元ミュージシャンのライブや地元高校のワークショップなどイベントも多数企画。出展増を受けて、八沢地区を初めて歩行者天国にする。詳細は公式フェイスブックページ。事務局(まちづくり木曽福島内)電話0264・22・2766

(松尾尚久)


投稿者: mgpress