「引きこもり」現状は 県精神保健福祉センター所長 小泉典章さんに聞く

高齢化浮き彫り原因は複雑

─引きこもりとは。
学校や仕事などの社会活動に参加せず、他者との交流を避けて、原則的には半年以上にわたって家庭にとどまり続けている状態。近くのコンビニに買い物に行ったり、ドライブしたり、他者と直接的な関わりを持たない外出は可能なこともある。
─引きこもりの原因は。
将来に対する不安や緊張、恐れなどからくる「心理的要因」をはじめ、家庭や学校、職場での人間関係やストレス、環境の変化などによる「社会的要因」、精神疾患や発達障害が関係している「生物学的要因」などさまざま。原因は1つに特定できず、複雑に絡み合っていることが多い。
─現状は。
内閣府が3月発表した調査結果によると、40~64歳の引きこもりの数は全国で推計61万3000人。2015年度に調査した15~39歳の推計54万1000人を上回り、引きこもりの高齢化が浮き彫りになった。
これを受けて県が6月に公表した初の引きこもり実態調査では、2019年2月1日現在15歳以上64歳までの引きこもり該当者は2290人。このうち40歳以上の中高年層は1412人、63・1%を占める驚きの結果だった。
年代別では40代が最も多く、どの年代も男性の割合が50%を超えているのが特徴だ。
引きこもりの期間は10年以上が918人(40.1%)で、40、50代では約半数が10年以上引きこもり状態にあることも分かった。一度就職したが、退職後に引きこもってしまうケースが多い。

孤立せずにまず相談を

─家族の対応は。
一番大事なことは、当事者が安心して過ごせる家庭環境づくりだ。家族からはよく「外に連れ出すにはどうしたらいいか」と相談されるが、うまくいかないことが多い。なぜなら引きこもりの背景には、さまざまな身体的、精神的な疲労が長く続いた結果、エネルギーの低下が見られるからだ。
家族は、引きこもりの状態を今すぐ何とかしたいと焦りがちだが、まずは当事者の回復を第一にゆっくりと休ませることが必要だ。エネルギーが回復してくると、少しずつ家族と話ができるようになったり、気持ちに余裕が生まれてきたりする。
引きこもりの原因探しをするのではなく、これから何ができるのかを、家族が一緒になって前向きに考えることが重要だ。
周囲の目を気にして誰にも相談できず、親子で孤立し、長期化してしまうケースも多い。こうなると当事者や家族の努力だけで解決するのは困難だ。
それぞれの状況に合う対応を見極めることが重要なので、勇気を持って、まずは気軽な電話相談から始めてほしい。保健師や精神保健福祉士、公認心理師など専門スタッフが、その人に合った対処法をアドバイスし、適切な関係機関へとつなぐ。家族だけで抱え込まないことが大切だ。

県内の主な相談先は次の通り。
▽県ひきこもり支援センター電話026・227・1810▽県保健福祉事務所(中信地区)松本電話40・1938、木曽電話0264・25・2233、大町電話0261・23・6529▽市町村窓口▽市郡にある生活就労支援センター「まいさぽ」─など。
(高山佳晃)


投稿者: mgpress