学校の給食は、偏食があるお子さんにとっては不登校のきっかけにもなり得るほどの一大イベントです。毎日のことなので配慮が必要ですし、何より安心して食べられるようにする取り組みが大切だと思います。
家では食べられない物でも、給食では「がんばって食べる」という子どもはたくさんいます。その子なりの「外面(そとづら)」で、できる限り食べようとしているのです。
それでもどうしても苦手で食べられない物がある、量が多過ぎて残してしまう、時間が短か過ぎて食べられないといった困難があるものです。給食指導では「作ってくれた人に感謝して残さず食べる」という思いが強い先生もいらっしゃいますが、そうはいっても「食」は人が生きる上で絶対に欠かせない大切なこと。そこに大きなストレスがかかると、生きていくことに不調が起きることもあります。一人一人の事情に配慮して、柔軟な対応をお願いしたいものです。
「残してもいい」「食べられないものは初めに言う」などと全体に伝えていたとしても、「残していいですか?」という一言が言い出せなくて、“必死で”最後まで食べるお子さんもいます。
食べられているならいいじゃないかと思うかもしれませんが、それが日々かかる大きなストレスになるよりは、残したいときは残せるという経験を積むことで、安心して給食の時間を迎えられた方がより良いと考えます。
例えば小さなカードに「残したいです」というせりふを書いて、食べられないときはそのカードを先生に見せればOK、といった手順を提示しておくとスムーズに言えるようになる子もいます。
【なないろキッズ】 #26 ストレスかけない給食を
- 2019/09/03
- 小児科医・新美妙美のなないろキッズ