弓道場があるユニークな宿

松本市・サンキューヒポポタマス2
又吉さん手作りのゲストハウス

松本市に新たなゲストハウス(簡易宿泊施設)が8月に誕生した。その名も「サンキューヒポポタマス2」(中央1)。女鳥羽川沿いにある一般住宅と蔵を改装し、宿泊施設と弓道場という組み合わせがユニークだ。
オーナーの又吉英良(えいりょう)さん(30)は、2017年から城西2のゲストハウス、旧「バックパッカーズ」で働き、「サンキューヒポポタマス」の名で昨年から経営を引き継いだ。「2軒目を作るなら何か面白いことをしたい」と外国人観光客らの声を基に、自身の手で改装した。
「ヒポポタマス」とは英語でカバ。響きなど「意外性」から名付けたという。名前通り意外性のありそうな施設を訪ねた。

工夫を凝らした新しい挑戦
グループ客を意識した設計

又吉英良さんが開業した「サンキューヒポポタマス2」は、2階に主に宿泊の部屋、1階に台所と居間、シャワー室などを設け、新たに弓道場を作ったのが特徴だ。
1軒目に経営した宿は築約100年の家。前の家主が保管していた弓が残されていて、「使ってみたい」というリクエストや、「夜の娯楽が少ない」といった客たちの声をヒントにした。
住宅1階の弓道場は的が4つ、座った姿勢で全長1・6メートルほどの半弓を使い、7メートル先にある直径約30センチの的に向かって矢を放つ。記者も挑戦すると、的には当たらなかったがなんとも言えない爽快感があった。遊技料は400円(矢10本)、射的感覚で利用できる。
8月19日から蔵に3泊滞在した山田芙実子さん(28)は東京からの出張で会社の同僚と3人で利用した。「ビジネスホテル以外に泊まりたい」と民泊仲介サイト「Airbnb(エアビーアンドビー)」で同宿を知った。同僚と弓道場を利用、宿の台所で食事も作り、「楽しい」「居心地がいい」「日本人にも外国人にも受けそう」と話し、宿を満喫していた。
今回の宿は、最近増えつつある家族などグループ客のインバウンド(訪日外国人客)を意識した設計。国内のゲストハウスは素泊まり・相部屋が多いが、ここはプライベートを重視して使える個室宿で、蔵と住宅2階部分を整えた。
蔵は水回りは業者に依頼したが、そのほかのほとんどを自身らで改装した。「畳に布団敷きなどただの和では外国人に受けない」と又吉さん。和の雰囲気の中に適度に外国人の生活様式を取り入れた。水回りは新品だが、家具はヨーロッパなどから集めたアンティークでそろえた。蔵の天井は高く、屋根の骨組みが見え重厚な雰囲気が漂う。

英語と物作り 夢をかなえて

又吉さんは神奈川県出身。「英語を生かした仕事か物作りに携わりたい」と考え、2011年に大学の文学部英語英米文学科を卒業後、テレビ番組の制作会社に就職、大道具の仕事に就く。14年に退職し、会社員時代の貯金をもとにヨーロッパからアジア各国を巡る約2年半の旅をした。
16年に帰国し、上高地の宿の従業員を経て、翌年から「バックパッカーズ松本の宿」(当時)で働き始める。自身でもゲストハウスの経営を考えるようになり、当時のオーナーが主体にしていた不動産業に専念しようとしていたことなどから、昨年4月に経営を引き継いだ。
宿の経営にも慣れ、「新しいタイプの宿に挑戦したい」と2軒目の開店を考えていたところ、前オーナーの紹介で女鳥羽川沿いに住宅と蔵が賃貸に出ていることを知った。春には桜並木が美しい場所。そこを借り今年5月から改装を始め、友人で、京都でゲストハウスを経営していた花岡功大さん(36)とアジア旅行中に知り合った東舞香さん(41)も手伝った。
又吉さんは「松本は観光客が多く、旅行者のリラックスした空気が街を明るく活気づけている。そんな雰囲気が好き」と話し「夢だった英語と物作り両方をかなえた」と笑顔を見せた。

【サンキューヒポポタマス2】
宿泊料は蔵(4~6人部屋)1泊1万5200円、住宅2階(5~8人部屋)1泊1万9000円。各5人目以降は1人につき2500円増。素泊まり。弓道場は午後4~9時、宿泊者以外も利用可。詳しくは「Airbnb」のサイトから。
(嶋田夕子)


投稿者: mgpress