ジェラートカフェ「GiFT NORiKURA」 持続可能な環境を乗鞍に

乗鞍観光センター(松本市安曇)1階に8月、ジェラートカフェ「GiFT NORiKURA(ギフトのりくら)」が出店した。目の前は、乗鞍岳へのシャトルバス乗換ターミナルがある観光拠点だ。
店主は3年前に千葉県から移住し、乗鞍高原でゲストハウス(簡易宿泊施設)を経営する藤江佑馬さん(36)。GiFTのコンセプトは「乗鞍の恵み・乗鞍からの贈り物」。美しい自然を発信し、持続可能な環境をつくりたいとの思いが込められている。
プラスチックや紙の容器を使わないなどごみを出さないよう努め、地元産の果物やヤギミルクを使ったジェラートを提供する。乗鞍の魅力を発信しながら、「高齢化が進み、ちょっと元気のない乗鞍に少しでも明るい光をつくりたい」という挑戦だ。

GiFT NORiKURA 松本市
魅力発信し自立した観光地へ

ごみゼロを意識 素材もこだわり

店主の藤江佑馬さんは千葉県出身。10年間の会社員生活を経て、学生時代にアルバイトをしていた乗鞍高原に移住した。「温泉宿をやりたい」との夢を実現するため、2016年に温泉もある「ゲストハウス雷鳥」(安曇鈴蘭)を始めた。
経営も軌道に乗った3年目の昨年秋、藤江さんに乗鞍の玄関口である乗鞍観光センター1階の店舗が空く─との情報が入る。「素晴らしい乗鞍の暮らしを少しでも多くの人にお裾分けしたい」と、カフェの出店を決めた。
「GiFT NORiKURA」では「Going Zero Waste(ごみゼロ)」をスローガンに、使い捨ての容器は使わず、木製のカップやスプーンを使い、コーヒーのテークアウト(200ミリリットル、500円~)用にステンレス製の水筒を無料で貸し出す。「小さい取り組みだが、国立公園という注目度が高いこの場所で行動することで、影響力を持つのではないか」と考えた。
メインのジェラートは松本市内のパティシエに教わり、乳化剤や安定剤などの添加物を使わない。「乗鞍で自然本来の味を知った」ゆえのこだわりだ。素材は地元のヤギミルクや自然農法で栽培するブルーベリー、期間限定の夏イチゴなど5種類(シングル、砂糖使用500円、蜂蜜使用550円)。
ヤギミルクのジェラートを食べた旅行者の木村久美子さん(60、千葉県)は「臭みはなく濃厚。後味さっぱりでおいしい」と驚いた。
そのほか、アメリカから移住してきた一家がフェアトレードで仕入れたコーヒー豆を自家焙煎(ばいせん)したコーヒー(380円~)、地元でも人気の「アリスデカフェ」(同市安曇)のサンドイッチ(400円)などを提供。来月には特産品の「花豆」を使ったジェラートも販売予定だ。
のりくら観光協会の福島眞協会長(68)は「藤江さんは英語ができて外国人客にも対応できるし、新しい感覚も持っていて、今後店がどんな展開をするのか楽しみ」と期待を寄せる。

食文化紹介して訪問客増目指す

藤江さんは中学生の頃から地球温暖化問題を考え、大学では気象学を専攻。気象情報提供会社のウェザーニューズ(千葉県)で働いていた経験がある。
乗鞍に移住してから感じたことは「静かであることも魅力ではあるが、こんなに美しくて最高な場所なのに人がいない」。安曇地区の人口は2006年に2109人だったが、17年には1609人に。観光客は02年に80万人を超えていたが、近年は50万人にとどまっている。過疎化や高齢化が進むこの地を「持続可能」にするには、魅力を発信し、もう少し多くの人に訪れてもらう必要があると考えている。
カフェに合わせて、乗鞍の恵みや生産者の紹介など「食文化」を伝えるホームページ開設資金にと、クラウドファンディングで支援を呼びかけたところ、目標額30万円を大きく上回る73万5000円が集まった。来月中にサイトを開き、情報発信にも力を入れる。
カフェの売り上げのうち3%を、乗鞍高原の環境整備のため同観光協会に寄付する。藤江さんは「自立した観光地を目指すため、必要な資金を自力で捻出する。使命感を持って取り組みたい」という。
カフェは午前10時(土日祝は8時)~午後5時。木曜定休、冬季休業あり(11月~ゴールデンウィーク前まで)。℡0263・93・2746(ゲストハウス雷鳥)

(嶋田夕子)


投稿者: mgpress