「見る、聞く、かぐ、触れる、味わう」の五感を養う 木のおもちゃの魅力

「木育」という言葉を知ってますか?赤ちゃんからお年寄りまですべての人を対象に、木とのふれあいで暮らしを豊かにし、未来に豊かな森を育てることを目指す活動です。木のおもちゃ作りに取り組んでいる酒井産業株式会社(塩尻市贄川)社長の酒井慶太郎さん(50)に話を聞き、木育や木のおもちゃの魅力について紹介します。

癒やしと安心感

現代の生活環境の中にはプラスチックや石油由来の素材のものが多く、木のぬくもりに触れる機会は減っているのが実情です。人間は「より生物に近い材料に安心感を得る」といいます。まずは木、木綿、絹などの生物材料。その次に土、紙、焼き物などの自然材料。その次に鉄やコンクリートなどの自然材料加工物、プラスチックや石油製品などは一番遠くに位置します。赤ちゃんに与えるのであれば、やはりプラスチック製品ではなく、生物材料のものが安心を与えてくれるそうです。
一番の安心は家族の手ですが、おもちゃとしてなら木が最適。一般に癒やしの香りに分類されるスギやヒノキは、幼少期から親しむことで、懐かしさや思い出と共によみがえります。実は小さいうちに木に触れる機会がないと、「匂いのきついもの」としか認識できなくなる、という実験結果もあるそうです。
元々漆製品を取り扱っていた酒井産業が、木のおもちゃを扱うきっかけとなったのは、40年ほど前のイベント。子どもたち用に用意したトラック1台分の木っ端の山は、想像を超えて人気の遊び場となりました。「木のおもちゃ」の必要性を感じた生協とタイアップし、より安全な「木の積み木」の開発がスタート。「自然のぬくもりをくらしの中に」と、現在は300点を超える木のおもちゃが生まれました。
「私の手のひらには、幼少期に遊びこんだ積み木の感覚が、今もしっかりと残っている」というのは、近代建築の巨匠フランク・ロイド・ライトの言葉だそうです。子どもたちに無限の想像力を与え、五感を通し一生手のひらと脳にその記憶を残すことのできる「木のおもちゃ」。「これからも大切に向き合って子どもたちに木の魅力を伝え続けていきたい」と酒井社長は話します。
核家族が増えてきてつながりが減りつつある中で、孫と祖父母をつなぐのに最適なのも、木のおもちゃなのだといいます。遊び方も単純でお年寄りにも扱いやすく、ゲーム機などと違って一緒に楽しめるのも魅力。「木のおもちゃの重要性は分かるけど、実際高価で手が出ないのよね」。親世代からはそんな声も聞かれます。誕生日やクリスマスのプレゼントとして、おじいちゃんおばあちゃんにリクエストしてみるのも良いですね。
実際に選ぶ時には、その時の発達の様子や興味のあるものを選びましょう。ハイハイやお座りの頃は、握り方を遊びながら学べるハンマートイなど。模倣遊びに興味が出てきたら、おままごとや見立て遊びのできるようなものを。積み木(あいうえお積み木)など、小さいうちから長く遊べるおもちゃも人気です。小学生以上なら、自分でおもちゃを作成できるキットがお薦め。
遊びが多様化している今、「見る、聞く、かぐ、触れる、味わう」の五感を、遊びながら養うことができる木のおもちゃが見直されています。同社ホームページ(http://www.sakai-toys.jp/)に、年齢別お薦めおもちゃが掲載されており、購入することもできます。

世代を超えてつながる遊び

わが実家には、私が小さい頃に遊んでいた木の積み木が残っており、帰省した際は子どもたちがそれで遊んでいます。積み重ねるだけでなく、転がし遊びをしたり、形別に分けてみたり、見立て遊びに発展したりと自分でルールを決め、夢中で遊ぶ子どもたち。五感をフルに使って触れ合っているのを実感します。
丈夫で長く使えるのも木のおもちゃのメリット。親子2代どころか3代でも、同じおもちゃで遊べる素晴らしさがあります。世代を超えて長く愛されるのが、木のおもちゃの最大の魅力なのかもしれません。
(藤原里絵)


投稿者: mgpress