朝日村初のゲストハウス「かぜのわ」好評

村人と旅人交流生む場所に

朝日村古見の御馬越(おんまご)地区に、村で初のゲストハウス「かぜのわ」が誕生した。宿泊施設を新築し、築150年の古民家を改修した体験棟と併せて、6月オープン。7月は毎週末、8月は連日が満員と、国内外から広くゲストが訪れる好調な滑り出しだ。
同所を管理、運営するのは、任意団体「tonari」。代表の大久保匡晃(まさあき)さん(43)は、同村地域おこし協力隊の元隊員だ。4年前「田舎でカフェや宿をやりたい」と、妻の綾乃さん(36)と都内から移住した。
「風と土を紡ぐ宿」がコンセプトという「かぜのわ」。「よそものの『風』と、もともとの『土』が合わさることで、新しい何かが生まれる。いろんな人が集まり、新しい文化が生まれる場所にしたい」という大久保さんに話を聞いた。

「黒板クロス」など随所に遊び心も

新築のゲストハウスは木造2階建て。ロフト付きの部屋や琉球畳を敷いた部屋など4部屋あり、家具のほとんどは村内の職人が村産のカラマツ材で作ったオリジナル。廊下などの壁は「黒板クロス」で、部屋への矢印や利用者の落書きなどがチョークで書かれていたり、庭先にハンモックがつるされていたりと、遊び心がそこかしこに見られる。
当初は古民家を改修する予定だったが、傷みが進んでいたことや、急傾斜地が近いため、少し離れた場所に新築した。「近年増加するゲストハウスのほとんどは古民家を改修したもの」と大久保さん。新築の良さは「安心、安全と清潔感。オリジナル家具は統一感もあり、実際に使って気に入れば購入もでき、展示場のような機能も併せ持つ」という。
一方の古民家は昔の暮らしが感じ取れるよう改修し、体験棟「りんね堂」として整備した。フローリングと畳の部屋があり、染め物や革細工などのワークショップを行ったり、宿泊者が寝転んで、くつろいだりしている。
貸しスペースとして利用することもでき、リフレッシュのためのヨガなどの教室や、勉強会に利用する人もいる。地元への周知につなげるためにも利用料は考えておらず、現在は「ドネーション(寄付)」で受けているという。
両施設は村が総事業費5066万円で建設・整備した。

家族で村に移住「恩返し」したい

北九州市出身の大久保さんは東京での勤めを経て「消費の循環から生産の循環へシフトしたい。田舎でカフェや宿をやりたい」と2014年、朝日村に地域おこし協力隊員として赴任した。村の産業振興課観光担当になり、観光資源を生かしたイベントなどを企画、運営。一方、休日などを利用して身近な植物などで染め物に取り組み、15年には染め物のブランド「染めやmito」を、翌年にはレザークラフトの「革やmito」も立ち上げた。
17年に協力隊の任期を終え、村観光協会の職員として今年3月まで勤務。ゲストハウスを村に造るという構想は、協力隊として働いていた時に企画し、形になった。18年6月に、自宅の古民家を改修した「カフェmito」をオープンし、飲食物の提供のほか、ライブイベントや企画展なども実施してきた。
ゲストハウスの運営も始まり、とんとん拍子に進んでいるように見えるが「移住する前に10年後くらいまでのイメージはできていた。ゲストハウスは移住後3年くらいに実現予定だったので、少し遅れた」という。
ゲストハウスは、村の観光につなげる拠点や中心となる「ハブ」として利用することで、交流人口を増やしたり、移住につなげるきっかけになると考えていた大久保さん。その必要性を村の人たちに伝え、理解をしてもらえるように時間をかけて説明。「村の施設」としてゲストハウスを建てる計画が進み、内容も協議を重ねてきた。

この夏は国内のみならず、中国、タイ、アメリカなど海外からも多くの人が訪れた。ほとんどが、これまで朝日村を知らなかった人たちだ。一緒に食事をしながら会話をして「毎日が楽しく刺激的。いろいろな人と知り合うことができ、ここに居ながら旅行ができているようなもの」と大久保さん。「ここで村内外の人の交流が生まれ、移住や結婚などにつながれば」といい、現在は忙しくてカフェは休んでいるが、ゲストハウスで不定期に開いている。
「当初イメージしていた10年後の姿は?」と尋ねると「それは秘密」と笑う大久保さん。それでも「今はまずしっかりとやって稼働率を上げ、いい循環になるようにしていきたい。ゲストハウスがあって良かったと思ってもらえることが、自分たち家族を受け入れてくれた村への恩返しになる」と話す。
ワークショップなどのイベントや、カフェ開催は「かぜのわ」のフェイスブックやインスタグラムで発信。問い合わせは電話0263・31・6151
(上條香代)


投稿者: mgpress