あがたの森に現れる謎の巨大人形

夜8時おとぎの世界へ

ヒマラヤスギが立ち並ぶあがたの森のメーン通りに巨大な人形が腰を下ろした。人形の名前はサミュエル、73歳。外灯に照らされて暗闇に浮かび上がり、学校帰りの高校生たちが思わず「うわ、びっくりした」と声を上げる。次第に周囲に人が集まり始め…。
松本市あがたの森公園で毎晩8時から約30分間、上演される人形劇。昨秋結成した野外人形劇団「のらぼう」(成田明加代表)による初の人形劇作品「帰り道」だ。秋の夜長のひととき、高さ3・5メートルの人形と3人の天使たちがおとぎ話のような世界をつくり出す。

野外人形劇団「のらぼう」松本で活動14日まで上演

サミュエルが公園内をゆっくり歩き、東側の多目的広場に腰を下ろして釣りをする|というシンプルな内容。だが、途中でさまざまな心ときめく仕掛けがある。
無言劇のため、サミュエルの心情を自由に想像しながらの鑑賞。ラジカセから流れるカセットテープの音楽、明かりをまとって踊る天使たち…。そんな演出がサミュエルに命を吹き込み、観客を幻想的な世界へいざなう。
「不思議な世界に迷い込んだみたい。日常を忘れ、心が落ち着いた。もう一度見たい」。そう声を弾ませたのは伏見百々花さん(13、同市里山辺)。
のらぼうは昨年11月に男女3人で結成。市内で流し芝居やテント劇団の松本公演にゲストで出演するなどしている。来秋、自作のテント劇場で芝居をするのが目標だ。
今作は、発起人の前田斜めさん(28)が、ミュージシャンでもある劇団員、水野安実さん(31)の曲から着想し、作・演出を手掛けた。手作りの人形は、手の指の関節まで動くなど可動部が多く、細やかな表現ができる。
「14日まで、サミュエルはいろんな天候の中でさまざまな観客と触れ合う。その偶然性も楽しんでほしい」と前田さん。
お代は投げ銭で。

(松尾尚久)


投稿者: mgpress