老後資金の備え方(下)

前回(8日)に続き、安心した老後を迎えるための「人生設計」について2人の専門家に聞いた。今回のテーマは、「老後の生活の試算」と「資産運用」について。

子どものために一定額をためて

老後生活の試算について、保険金融代理店、ライフプラザパートナーズ松本FA営業部(松本市中央1)のファイナンシャルプランナーで、自身も親の介護経験がある須山克行さんに聞いた。
給付される年金だけでは毎月約5万5000円足りず、65歳から90歳までで2000万円の赤字になる|という金融庁の審議会が出した報告書の内容は前回紹介した。その上で、須山さんは「老後は寿命が尽きるまで続く。無理のないよう若い頃から少額でも資産形成を始めてほしい」とし、80歳までは、冠婚葬祭費などの出費が増える時期で、生活費は「現役時代と同じくらいに考えて」とアドバイスする。
また、自身が介護状態になり、子どもに経済的負担をかける「子不孝」にならないための備えも必要。日頃から子どもに資産状況や通帳、印鑑の保管場所などを伝えたり、同じ口座で複数のキャッシュカードが持てる金融機関の「代理人カード」(金融機関によって作れる対象が異なる)を作り、遠距離に住んでいてもお金の出し入れを可能にしたりすることが重要という。
須山さんは「子どものためにも、75歳までに一定額をためて。保険などで満期年齢を設定できる商品の活用も検討して」と提言する。

ニーズを見極め資産運用をする

続いて「資産運用」について、独立系のファイナンシャル・アドバイザーで、毎月無料のマネーセミナーも開く媚山裕之さん(松本市梓川梓)に聞いた。
媚山さんも同様に、「少額でも積み立てが必要」とし、「投資も視野に入れて」と提案。日本では資産運用は、元本割れなどのリスクから敬遠される傾向があるが「運用しないことのほうがリスク」と強調する。
理由の一つが「物価の上昇」。預貯金をしていても、物価の上昇率が金利を上回れば実質的に預金は目減りするからだ。物価上昇に備える資産形成のためには、正しい金融知識などを身に付けた上で、「税の優遇制度を活用して」と言う。
老後資金の形成に適している投資方法として、「ドルコスト平均法」を推奨。定期的かつ継続的に一定額の金融商品を購入する投資手法で、相場の変動にかかわらず購入価格を平準化することによって、結果的に大幅な損失を回避できる可能性が高いのが最大のメリットだ。
この方式を使っているのが、「私的年金制度」の一つ「個人型確定拠出年金(iDeCo、イデコ)」や、「少額投資非課税制度(NISA)」の一つ「つみたてNISA」など。いずれも、税制優遇がある。
シニア世代なら利用年齢の上限のない「つみたてNISA」がお薦め。100円からと少額から積み立てられ、年40万円の投資額を上限に、投資で得た運用益や配当金が投資から最大20年間非課税になる。現在147万口(6月末現在)の専用口座がある。国は投資期限を今の2037年から延長し、20年間の積立期間を確保できるよう調整している。
2004年6月~19年5月の180カ月、毎月1万円を「つみたてNISA」で運用したと仮定、試算すると、最終的には180万円の投資が約320万に増えた=グラフ参照。
媚山さんは、長期間運用を続けたことが大きな収益を上げる要因とし、「価格変動のリスクを抑えられる」と説明。金融商品を選ぶ際の注意点として、「商品の手数料や引き出し可能な時期などを確認し、自身のニーズに合っているのかをよく見極めることが大切」とアドバイスする。

(嶋田夕子)


投稿者: mgpress