患者家族に寄り添う「マザーハウス」

一般社団法人「笑顔の花」代表 茅房栄美さん
自身の経験を元に

病気で入院する子どもと、その家族を支えたいとの思いで立ち上げた一般社団法人「笑顔の花」(安曇野市豊科)が近く、県立こども病院(同)の近くに患者家族の滞在型施設「マザーハウス」を開設します。アクティブに行動する代表の茅房(かやふさ)栄美さん(43、同)に話を聞きました。

茅房さんは中学1年生の長男、年長の長女のお母さん。先天性の心疾患がある長女をこども病院で出産し、手術や治療・入院のため、当時自宅があった豊丘村から片道100キロかけて何度も同院に通いました。付き添い中は身動きが取れないことが多く、欲しいものがすぐ手に入らないことも度々。そうした経験から宿泊施設の必要性を強く感じたと言います。
マザーハウスは、こども病院から約2キロ、車で5分ほどの場所にあります。建物は茅房さん一家が6月に引っ越した平屋の一軒家で、そこをリフォームして付き添いなどの家族が泊まれる3部屋を設けました。広々とした14畳の和室は共有スペースで、心身ともにくつろげます。
「お日さまを浴びて洗濯物を干すのも気分転換になる」と、ちょっと広めの物干しスペースも作りました。利用者は長期滞在が必要な遠方の人や産前産後の母親を想定し、料金は1泊1000円程度。休憩だけしたい人や退院後の母親が集まれる場所としても活用する予定です。
普段から茅房さん家族が日常生活を送る空間でもあり、人のぬくもりを感じられるのがこの施設の良さです。
「入院生活が長くなると、お母さんたちは想像以上の疲労やストレスがたまります。足を伸ばしたい、お風呂に入りたい、温かいものが食べたいと思いながら、子どもが苦しいときに自分のことを考えてはいけないと思いがち。そんなときにここでつらい思いを共有し、少しでも気持ちが楽になってもらえたら」と言います。

お母さんのケアを

茅房さんは、長男の育児、長女の入院生活を通じて、お母さんたちが家族や社会から理解され、サポートを受けることの大切さを実感したと言います。
「“いいお母さん”をしようとして、苦しい思いをするお母さんが増えている感じがします。例えば留守にするときに子どもを預けたり、疲れている時は総菜を買ったりといったことが当たり前にできるようになれば…。子どもだけでなく、お母さんのケアを充実させることが社会を明るくすることにつながると思います」
マザーハウス開設に先行して、料理人やカフェ店主らと共に同院に入院する子どもに付き添う親にランチボックスを届けるサービスを始めたり、患者とその家族への理解を深める講演会やチャリティーライブを開いたりとパワフルに活動する茅房さん。
「私が何でもやっているように見えるかもしれませんが、私は発案者で、実際に活動するのはそれぞれの分野で得意な人、できる人なんです。私自身が何でもできるわけではなく、子育てを通じて自分で全部やらなくていいということが分かりました。できる人がやった方がパフォーマンスも上がるし効率的。誰かにお願いすることで、できることが格段に増えることが分かりました」
できる自分を追い求めるのではなく、「できないの」と助けを求めることを練習していると言う茅房さん。頼んだり頼まれたりして、“笑顔の花”の活動が喜びの循環になることを願っています。

笑顔の花(電話080・4122・0817)は、台風19号長野緊急災害・母子支援募金を実施中。
https://syncable.biz/campaign/674

(桜井一恵)


投稿者: mgpress