家での耳掃除 リスクは?

信州大医学部耳鼻咽喉科学講座 吉村豪兼助教に聞く

ごっそりと耳あかが取れた時の満足感や気持ちよさが病みつきになり、耳掃除が日課のように習慣化している人も多いのでは?しかし、「気持ちいいから」などと続けている「自己流」の耳掃除が、疾患の原因になるとも聞く。家庭での耳掃除の必要性やリスクについて、信州大医学部(松本市旭)耳鼻咽喉科学講座の吉村豪兼助教に聞いた。

耳あか押し込みふさぐ危険も

-家庭での耳掃除はするべき?しなくていい?
耳の穴から鼓膜まで続く管を「外耳道」と呼びます。この入り口に近い部分で、皮脂腺などからの分泌物や外から入ったほこり、耳毛などが混ざって耳あかとしてたまります。
本来、外耳道には耳あかを外へ外へと押し出す自浄作用が備わっています。ですから、耳掃除は基本的には必要がないと言えます。
どうしても気になる場合は、2週間から1カ月に1回程度で。綿棒など軟らかい素材のもので、耳の穴の入り口からごく浅い部分だけを、軽く拭う程度にしておきます。最小限で済ませましょう。
-自分で耳掃除をするリスクは
綿棒や耳かきを見えないところまで入れることで、耳あかを外へ出すどころか、むしろ奥へ押し込んでしまい、鼓膜近くで耳あかが栓状に詰まり外耳道をふさいでしまう「耳垢栓塞(じこうせんそく)」の原因になることもあります。
さらに、耳掃除を頻繁にする人は、外耳道を傷つけてしまい、外耳湿疹や外耳炎を引き起こすことがあります。外耳道が湿ってかゆくなり、結果として耳掃除を繰り返してしまう悪循環に陥るケースも。若い世代に多く見受けられます。
こういった場合の治療の多くは内服や外用薬、抗生物質で対応し、月単位の時間がかかります。ただ、習慣が断ち切れず再び繰り返されることも少なくありません。頻回の習慣があり、かゆみが伴う場合は受診して原因を突き止めることをお勧めします。

高齢者や子ども特に注意を

-耳あかの性質で違いは
日本人は乾いた耳あかの人が多く、自浄作用で自然にぽろぽろと外へ排出されますが、耳掃除によって奥に押し込む危険があります。湿った耳あかの人はたまりやすい傾向があるため、定期的に耳鼻科で掃除してもらいましょう。
-年齢によって気を付けたい点は
外耳道の自浄作用が年齢とともに低下するため、高齢者は、耳垢栓塞になりやすいです。耳が聞こえにくくなった場合は、加齢に伴う難聴の他に、耳あかが原因になっていることも考えられ、気になったら耳鼻科で相談してください。
子どもの外耳道は大人よりも短く狭いため、耳あかを奥に押し込むリスクが極めて高まります。善かれと思って行う保護者もいるでしょうが、小さな子どもの耳掃除は厳禁です。耳垢栓塞になってしまい、医療機関で処置をする際に、子どもが嫌がって大変になるケースも多く見られます。耳掃除で引き起こされるリスクがあることをぜひ知っておいてください。
(青木尚美)


投稿者: mgpress