あす松本でオレンジリボンリレー 「児童虐待防ごう」願いつなぐたすき

肉体的、精神的な暴力を受け、傷つき、時には亡くなってしまう子どもたち。壮絶で過酷な児童虐待のニュースに心が痛む。
「子どもたちに明るい未来を」との願いが込められたオレンジ色のリボンを広める市民活動「オレンジリボン運動」。親だけを責めるのではなく、地域社会全体で意識を高め、子どもたちを守ろう─と、県内でも5年前から「ながの子ども虐待防止オレンジリボンたすきリレー」実行委員会(事務局・安藤民平さん)が手弁当で活動している。
11月は児童虐待防止推進月間。3日、松本市街地でたすきリレーのイベントが開かれる。不幸な虐待を少しでも減らしたい─。そんな思いを込めたオレンジ色のたすきを、50人のランナーがつなぐ。

オレンジリボンたすきリレー
虐待社会全体で取り組みたい

活動始め5年目全県で啓蒙展開

「ながの子ども虐待防止オレンジリボンたすきリレー」は2014年、共に飯田市内の児童福祉施設に勤める安藤民平さん(43)と小松卓也さん(40)が発案した。当時、全国で児童虐待防止運動の機運が高まっていた。「長野でも何かできないか」
仕事柄、親から虐待やネグレクト(育児放棄)を受けた子どもたちと向き合っていた安藤さんたち。そんな中で「関係者だけでは限界がある。社会、地域で取り組んでいかなければ」との危機感を抱いていた。
先行してたすきリレーに取り組んでいた神奈川県などを仲間と視察。15年、県内初のリレーを松本、長野両市で開いた。手探りで活動を広げ、5年目の今年は、松本市でリレー、長野市で啓発活動(9日)、飯田市で開く駅伝(12月1日)でPR─と、全県で啓蒙イベントを展開する。

広がる支えの輪運営には苦労も

広がりを見せる活動だが、その運営は容易ではない。27人いる実行委員は、看護師、助産師、教育関係者、心理士など。最も多いのが、県内各地の児童福祉施設の職員だ。夜勤もある不規則な仕事だけに「時間を合わせて会議をするだけでもひと苦労」(安藤さん)という。
資金集めにも飛び回る。補助金はごくわずかで、運営資金の多くを企業や団体、個人からの協賛金で賄う。事務局を務める安藤さんは毎年、地元企業などに協力を求め、今年は70の企業や団体から協賛を取り付けた。
個人協賛の拡大に向けては、昨年から「ワンコインサポーター」(一口500円)を広く募っている。各地の養護学校や障害者施設などで作ったオレンジリボンを模したストラップなど6品を返礼品として用意。グッズを通じて、虐待問題に関心を持ってもらえることも期待する。
安藤さんらの思いに共感し、活動を支える輪も着々と広がっている。歌手の湯澤かよこさん(伊那市出身)、信州プロレス代表のグレート☆無茶さん(長野市)は初回から「PR大使」を務める。
ポスターやTシャツも、賛同者が無償で協力。今年はアニメ監督の宮尾佳和さん(長野市出身)が、ながの独自のシンボルキャラクター「ホーリン」をデザインした。リンゴやハート型のキャラクターが自分を抱きしめるイメージで「保護者や子どもに、自分を大切にしてほしい」との思いを込めた。
「助け合える社会」実現の必要性を強く実感し、活動に加わった人も。第1回から司会者としてボランティアで参加する久野恵美子さん(塩尻市)。かつて乳児の世話と家族の介護が重なり参っていた時、相談したことで救われた。そんな自らの経験と思いを胸に、今年もマイクを握る。
若い芽も出てきている。28日には、共催する松本短大幼児保育学科1年の100人が、リレー当日に街頭で配るチラシを詰める作業をした。授業で児童虐待に関心を持つようになり、将来は乳児院で働きたいという善財千夏さん(19)は「親と子どもの両方の気持ちを考えられるようになりたい」と話す。

虐待死したとされる子どもは、17年度に65人(厚労省まとめ)に達した。家庭だけの問題でなく、貧困など社会的背景も絡んで負の連鎖となって起こるケースも少なくない。
「困っている人は一人で抱え込まずに相談したり頼ったりしてほしい。社会全体で虐待を止められたら」。安藤さんは、児童虐待防止の思いをつなぐたすきリレーが、負の連鎖を断ち切る一助になってほしいと願う。

■メモ
【オレンジリボンたすきリレー】
午後1時、JR松本駅前でセレモニー、松本短大「イクメンジャー」によるショー、松本蟻ケ崎高校「書道ガールズ」のパフォーマンス。その後、市街地5区間を走り、同3時半ごろ、まつもと市民祭メインステージ(大名町)でゴール。問い合わせ、協賛希望はメール naganoorange@outlook.com
【虐待に関する相談】
◆児童相談所全国共通ダイヤル℡189(いちはやく)
◆チャイルドライン℡0120・99・7777(月~土曜、午後4~9時)

(佐竹伸子)


投稿者: mgpress