松本歯科大学黒岩昭弘教授に聞く 義歯の種類と選び方

11月8日は「いい歯」の日。80歳で20本以上の自分の歯を残す「8020(はちまるにいまる)運動」も最近よく耳にするようになってきた。歯は健康を守るために大切なものだが、もし失ってしまったら?松本歯科大学(塩尻市広丘郷原)で歯科補綴(ほてつ=失った歯を補うこと)学が専門の黒岩昭弘教授(57)に、失った歯の代わりに使う義歯について、種類や特徴・選び方、高齢者が気を付けることなどを聞いた。

要望伝え納得できる治療を

─義歯の種類と、それぞれの特徴は
最もポピュラーな入れ歯(総義歯・部分義歯)は手術が不要で、どんな欠損にも使え、自分で外せるので手入れがしやすいです。口元の若々しさも保てます。欠点は、「入れ歯!」「異物!」という感覚が強いこと。部分入れ歯は、歯に掛かる留め金になじめない人も多いです。
また、総入れ歯はうまくかめないという人が多いです。入れ歯安定剤は使い方によっては有効ですが、クッションタイプはかみ合わせが絶えず変わるので控えましょう。使い方は歯科医に尋ねてください。
ブリッジは、歯が抜けた部分に隣接する歯を削って「支柱」とし、抜けた部分に「橋」をかけるように人工の歯でつなぎ、欠損を補う装置です。違和感が小さく、保険も利きます。
ただ、支柱となる歯が虫歯でなくても削る必要がある上、負担もかかり、手入れが悪ければつなげた歯が全て同時に抜けてしまうこともあります。
近年注目されているインプラントは、体になじみやすいチタン製の人工歯根(歯の土台)を顎の骨に埋め込み、その上に人工の歯を取り付ける方法です。見た目や機能も自然に近く、残った歯に負担がかからず、長持ちするのが利点です。
欠点は高額なことと、治療期間(半年~1年以上)がかかること。高齢者の場合、手術に耐えられる体力や、顎の骨の量・質も求められるため、誰でもできるとは限りません。歯周病のような「インプラント周囲炎」が起きないように、ケアも欠かせません。
予算が限られる場合は、入れ歯にインプラントを併用した「インプラント・オーバーデンチャー」もあります。インプラントの本数が少なくなるので、費用も減ります。
─選び方のポイントは
抜けた歯の左右に歯がある場合、たいがいの患者さんはブリッジを選びます。前述の通り、駄目になるときは前後の歯とも失う可能性があるので、手入れが不可欠です。
歯を削りたくない人はインプラントが有効です。そんなにお金をかけられず歯も削りたくない場合は部分入れ歯です。自費にはなりますが、目立たず異物感の少ない入れ歯もあります。
全ての人に共通した「ベスト」はありません。主治医に要望・予算・治療期間をしっかり伝え、納得できる方法を選びましょう。「分からないから先生にお任せ」はやめてください。
─ 歯を守るためのこつは
歯の疾患を未然に察知することはできません。歯科医での定期的なチェックが重要です。
寝る直前と起床直後には、うがいをしましょう。口の中の細菌は、人が活動していない就寝中に増殖します。うがいによって口の中の細菌を減らせば、インフルエンザや肺炎の予防にもなります。
─高齢者が気を付けることは
70~75歳までには、歯の問題を解決することを勧めます。通院できる手段や体力、骨質や量なども考え合わせると、なるべく早く治しておくべきです。
「今日食べたおいしいものを、明日も食べたい」という気持ちを持つことが大事です。しっかり食べて健康で長生きするためにも歯の状態を整え、口の中をきれいに保って、楽しい人生を過ごしてください。
(長岩将弘)


投稿者: mgpress