「スタジオビーチハウス」松本初公演 社員プロダンサー躍動するステージ

約1時間半、息つく間もなく展開する演出とダンスが、約140人の観客を圧倒した。
松本市など県内3カ所でダンススクールなどを運営する「スタジオビーチハウス」(諏訪市)が10月下旬に開いた松本初公演。同社所属のプロダンサー5人と、スクールに通う小、中、高校生16人がステージで躍動した。
芸能の世界では、プロは専属契約などを結ぶケースが一般的。だが、同社はダンサーを正社員で雇用、基本給や福利厚生などを保証する。いわば「社員プロダンサー」だ。
「安心してダンスに打ち込める環境を整えたかった」と、同社オーナーの竹内桂子さん(61)。都会でなくてもプロのダンサーとしてやっていける─。そう思う若者を増やし、支えていこうと奮闘する。

25歳で会社設立プロとして活躍

信毎メディアガーデン(中央2)1階で開いた松本初公演。演出を手掛けたのはkeimeiさん(31)、Yucaさん(31)、REIさん(28)、Shumeiさん(25)。いずれも「社員プロダンサー」だ。
4部構成で、ジャズやバレエ、ヒップホップなど多彩なジャンルを取り入れ、有名な刑事ドラマなどを題材にストーリー性も持たせた。「踊る姿があまりに美しくて涙が出そうだった」と、公演を見た同スクール生の横山珠優さん(13、松本市波田)。コミカルな場面も織り交ぜ、見せ場を工夫した。

「スタジオビーチハウス」オーナーの竹内桂子さんは、諏訪市出身。若いダンサーが成功していく米映画「フラッシュダンス」や、ミュージカル映画「サウンド・オブ・ミュージック」を見て、ダンスにはまった。「生きる力をもらい、ダンスをすることで助けられてきた」と話す。大学ではダンス好きの学生でつくる「関東舞踊学生連盟」に入り、ダンスに熱中した。
ダンサーになることも考えたが、「収入が不安定」などと周囲に反対され、一般企業に就職。3年間、会社勤めをしたが、やはりダンスが忘れられなかった。「ならば、ダンスに関わらざるを得ない『既成事実』をつくってしまおう」と、25歳で一念発起し、同社を設立。東京やニューヨークで本格的にダンスを学び、プロとして活躍。その後、後進の育成やプロデュースに力を入れてきた。

自身の経験から「社員制」を採用

プロダンサーの「社員制」は、自身の経験を踏まえて採用した。スクールで教える以外に、ダンサーとして舞台などに出演する機会は不定期で、出演料収入も不安定だ。「基本給で安定した収入を保証した上で、後は『出来高』にすればいい」と考えた。2年前にはマネジメントを強化するため、出演交渉などをする専門会社「オフィスアシスト」も立ち上げた。
スタジオビーチハウス開業から36年。「信州発」のダンサーの芽は徐々に育ってきている。その1人が、長男でもあるkeimeiさん。母親の後ろ姿を見て育ち、5歳の頃から同スクールでダンスを始めた。プロになって10年。韓国のアイドルグループのバックダンサーやミュージカルの振付のほか、自身もかつて通った子どもたちのクラス「P3プロ科コース」の指導にも当たっている。
数年前まで東京で暮らしていたが、今は諏訪市に居を構える。ダンサーとして実績を積み、諏訪にいても首都圏の仕事が来るようになった。「ならば、信州を拠点に、後進の指導とダンサーとしての活動を両立させたい」と話す。
同じく松本初公演に出演した同社のプロダンサーakariさん(21、安曇野市堀金)も「P3」の卒業生。keimeiさんらの姿に憧れ、2年前にプロになった。スクールの指導をしつつ、人気アイドルグループのバックダンサーとしても活躍している。
都内などには、ダンスだけでは生計が成り立たず、アルバイトをしながら活動する若手ダンサー仲間もいる。「安心してダンスに打ち込める環境や、スタジオの生徒や保護者が応援してくれるのが励みになっている」とakariさん。
スタジオビーチハウスが松本市大手1で開いている「松本スタジオ」。未来の「信州発のプロダンサー」候補たちが、レッスン前から待ちきれずに踊り出していた。

(嶋田夕子)


投稿者: mgpress