補聴器ラボみみずく店主・小泉智彦さんに聞くー補聴器の正しい使い方

日本の難聴者のうち、補聴器を使っている人の割合は14・4%(ジャパントラック2018による)。これは、イギリス(47・6%)など欧米先進国と比べると突出して低い数字です。その要因はさまざまですが、そのうちの一つが満足度の低さ。欧米の利用者の7~8割が満足しているのに対し、日本はわずか38%。その背景にあるのは補聴器に対する誤解です。塩尻市広丘高出の認定補聴器専門店「補聴器ラボみみずく」の小泉智彦店主(48)に、補聴器の正しい選び方や使い方を聞きました。

最適は専門家に任せて

─どのような誤解がありますか
一番多いのが「補聴器を使えばすぐ聞き取れるようになる」というものです。眼鏡をかけるとすぐに見えるようになりますよね。それと同じ感覚の人が非常に多いですが、それは違います。
加齢による難聴の場合、音は徐々に聞こえにくくなっていきます。脳も聞こえない状態に慣れてしまう。そこに、補聴器で突然音が聞こえるようになると、誰もが「うるさい」など不快に感じてしまうのです。
大事なのは、起きているときは常に補聴器を付け、補聴器の「聞こえ」に慣れる練習をすること。当店では、お客さんが本来必要とする音の7~8割くらいの音量から始め、1~2カ月ほどかけて徐々に音量を上げていきます。
「聞こえにくい」と一言で言っても、聞こえない音の大きさや周波数などは人によって異なります。その人の聞こえに合わせた調整が不可欠で、定期的に聴力測定をし、不調があれば調整やメンテナンスをする必要があります。当店では4カ月に一度の来店をお願いしています。「買って終わり」ではないのです。
─専門店でなくても買えますが
満足のいく補聴器を手に入れたいと思ったら、「補聴器は自分で選ぶもの」とは考えず、われわれ専門家に任せてください。補聴器の種類はもちろん、補聴器に付ける耳栓の種類も数十種類あります。その人に最適な補聴器というのは専門家でなければ選べません。
補聴器購入の際は、認定補聴器技能者がいる専門店に行くことをお勧めします。これは「テクノエイド協会」のホームページから検索することができます。
そして、専門店に行く前にぜひ、補聴器相談医のいる耳鼻咽喉科を受診してください。こちらも「補聴器相談医長野県」で検索できます。
病気が原因の難聴であれば、治療をすれば補聴器を使わなくて済む可能性がありますし、補聴器が必要と診断されれば、認定補聴器技能者がいる専門店を紹介してもらえます。
補聴器相談医が発行する「補聴器適合に関する診療情報提供書」の一定要件を満たすと、昨年度から医療費控除が受けられるようになりました。

聞こえの低下で認知力に影響も

─補聴器を正しく調整し、使い方を練習すれば、元の聴力が回復しますか
補聴器は聴力を元へ戻すものではありません。今残っている聴力を最大限に引き出し、聞こえを補う道具です。
「難聴は認知機能低下の一つの因子」とも言われています。耳が聞こえにくい状態を放っておくと、言葉を聞き取る力が低下して、会話を理解することが困難になってしまうこともあるのです。
耳が聞こえにくくなり、人付き合いがおっくうになって、閉じこもりがちになってしまうと、さまざまな影響が出てきます。
補聴器はコミュニケーションを助ける道具。われわれ専門店の仕事は、耳の聞こえにくい人が快適な生活を送るためのお手伝いをすることです。

【ジャパントラック2018】 一般社団法人日本補聴器工業会(東京都)が、公益財団法人テクノエイド協会、EHIMA(欧州補聴器工業会)の協力を得て、日本における聞こえの不自由さ(難聴)や補聴器についてどのように考えているか、補聴器の使用状況はどうなっているかなどについて実態調査した報告書。
(松尾尚久)


投稿者: mgpress