【なないろキッズ】 #30 目で見える形で情報伝達

情報伝達の方法で主なものとして、耳で聞く方法と、目で見る方法があります。多くの人はこの2経路を両方使って情報を受け取っていますが、発達に偏りのある人の中には、どちらか一方の経路が偏って得意という人もいます。
特に自閉特性のある人の多くは、目で見て情報を受け取る方が、理解しやすく、記憶に残りやすいです(例外もあります)。日常生活においては、口頭でのコミュニケーションが多く使われるので、耳からの情報入力が苦手な人にとっては、「聞いているようでも実は理解していない」ということがしばしば起こっています。
目で見える形式の情報伝達の手段をたくさん知って使えるようにしておくと、自閉特性のある人だけに限らず、具体的に、分かりやすく伝える手段が増えて、コミュニケーションの幅が広がります。
これから数回は、そんな、目で見える形の情報伝達、コミュニケーションの方法についてお話ししたいと思います。
例えば、うちの娘が3歳の頃、「はなのかみ方」を教える際、口で説明したり、実践して見せたり、遊びの中で、鼻に詰めた丸めたティッシュをロケットに見立て「発射!」と言って鼻から息を出して飛ばして練習させたりと、あの手この手を使いました。
しかし、何度やっても吸ってしまい、はなをかむことが半年以上習得できませんでした。ある日、目で見えない鼻息の流れを矢印で示した手書きのイラスト=図=を見せたら、一瞬ではなをかむことができるようになりました。
こんなふうに、口でいろいろ説明するより、絵に描いて見せればすぐに伝わることもたくさんあるのです。