発達に心配─就学前の悩み 学校選びや関係づくり 先輩ママに聞きました

発達に心配のある子どもを持つ親にとって、小学校の就学先選びは悩みの一つではないでしょうか。自治体や支援を行う機関に相談するとともに、すでに子どもを通わせている先輩ママの話が参考になる場合もあります。松本市の公立小学校の特別支援学級に通う2年生の男の子A君(8)の母Bさん(36歳)に、学校選びや周りとの関係の築き方などについて聞きました。

周囲の理解で無理なく通学

─A君はどんな子どもですか?
対人コミュニケーションが難しく、強いこだわりなどがある自閉症スペクトラム障害(ASD)と、忘れ物やミスが多かったり、じっとしていられなかったりする注意欠陥多動性障害(ADHD)があります。言葉の遅れもあります。
好きなことはお絵描き、読書などで、素直で律義な性格です。基本的に穏やかですが、予想外のことが起きるとパニックに陥り様子が変わってしまいます。お友達が大好きで、学校では追いかけっこなどをしたりして楽しく遊んでいるようです。

─周囲の人にA君のことをどのように伝えていますか?
保育園の時は、懇談会の場で保護者に障害のことを伝えました。子どもたちは、周りと違う息子を避けるというより興味津々で、「どうやったら遊べるか教えて!」と好意的に受け止めてくれたようです。
小学校に入学してからは、息子の特性や知ってほしいことをまとめた絵本を夫婦で手作りし、クラスの子どもと保護者がいる前で読ませてもらいました。子どもたちからは「どうしてすぐにどこかに行こうとしちゃうの?」という素直な質問が出て、保護者からは「詳しい話を聞けて良かった」と言っていただきました。

─学校での様子を聞かせてください
通っている小学校は支援に対して熱心で、困り事があればすぐに対応してくれ良い関係が築けています。
就学にあたり養護学校も見学しましたが、本人を含む家族みんなの意思で公立学校を選びました。国語、算数、道徳などの時間は特別支援学級、体育、音楽、図工などは通常学級で過ごしています。学習のペースはそれぞれ本人に合わせて調整してくれているので、無理なく通えています。

─A君の友達にはどのように接してほしいと思いますか?
積極的に関わってほしい半面、パニック時に話しかけられると収まりがつかなくなることがあるので、そんな時はそっとしておいてほしいという気持ちもあります。本人は自分の思いや伝えたいことを言葉で表せないので、分からないことは、先生や私たち両親にどんどん聞いてもらいたいです。

頑張り過ぎず個性を大切に

─同じ悩みを抱える人に伝えたいことはありますか?
心配事があって支援を受けるなら、早いに越したことはないと思います。周りの助けを得て、子どもに居場所をつくってあげることが大切だと思います。
また、家族でたくさん話し合って、お母さん一人が背負って頑張り過ぎないことが大事です。わが家は、夫が子どもの登校に付き合ったり、子どもの日常の活動をスムーズにするためのアイテムなどを作ったりと協力してくれています。

─A君の障害について率直な気持ちを聞かせてください。
言葉はいつか話せるようになると思っていましたが、発達障害を受け入れるのは容易ではありませんでした。周りと同じことができなかったり、パニック発作が起きた時に人に注目されるのを見るたびにつらくなったり…。
今も息子が泣いている理由が分かってあげられず、一緒に泣きたくなることは日常茶飯事ですが、彼にしかできない感じ方、生き方があるのでそれを大切にしたいです。息子に障害がなかったら、こんなに真剣に育児に向き合ってなかったかもしれません。
ほかの人の育児にも関心を持つようになりました。それぞれ違っても誰もが頑張っているんだなと思います。

「少しでも発達障害の理解につながれば」と取材に応じてくれたBさん。A君が言葉で表せなくても、「選択肢を与えて選ばせ、本人の気持ちを尊重している」という話が印象的でした。
また、夫婦で信頼関係を築く努力を怠らず、A君をサポートする姿に、深い愛情と母親の強さを感じました。幼少期からいろいろな人たちと交流しながら学んでいくことの大切さを感じました。

(冨田琴美)


投稿者: mgpress