本の言葉で対話新たな視点 「リード・フォー・アクション」読書会の魅力

対話と受容の場 人生の指針に

リード・フォー・アクションの読書会 松本市

「大人の秘密基地ってどんなところ?」
       ↓
「空っぽ」「逃れ」「無限大」

「私はいつハワイに行けますか?」
       ↓
「流れにまかせて」「心の準備ができていなかった」「無用な心配」

質問に対するメッセージが、本の中からまるで「お告げ」のようにスラスラと導き出されていく。本を読み込むのではなく、キーワードを通して対話を深め、自分で気付けない視点に目を見張る。そんな「読書会」が近年、各地で開かれている。
一般社団法人「リード・フォー・アクション」(東京)の認定ファシリテーター(企画進行役)宮坂一美(ひとみ)さん(41)が松本市で開いた読書会に参加、その魅力に触れた。

言葉を拾って

目にも鮮やかなハロウィーンの飾り付け、テーブルにもカラフルな付箋や色ペンがずらり。コーヒーやスイーツも好きなものを選んでいいと言われ、のっけから期待とワクワク感が高まる。
「ことばのお弁当箱を創(つく)ろう」と題し、10月に松本市内で開いた「リード・フォー・アクション」の読書会。市内外から6人が集まった。
この読書会で大切な基本ルールとして、「ありがとう」「受け取る(違いを楽しむ)」「(内容を)口外しない」の3点を確認し、お待ちかねの本選びへ。絵本、自然や植物、ビジネス、小説、お弁当作り…。約40冊の多彩なラインナップから、気になる一冊を選ぶ。私は「女は年を重ねるほど自由になる」のタイトルに引かれ、手に取った。
本を選んだら中身を読まずに作者への質問を2分で考え、付箋に書く。これが意外に難しい。私はとっさに「自由って何ですか?」と書いた。本は両隣の人に渡し、自分も渡された本に対する質問を考える。これで一冊の本に3つの質問が並んだ。
続いて、その質問の答えを探す「ワードジャングル」の時間。本をパラパラとめくり、目に留まったり心に引っ掛かった単語、フレーズを付箋にひと言ずつ書く。「フォトリーディング」と呼ばれる手法で、短時間で本のエッセンスを読み取る。数分でテーブルの中央に付箋の山ができ、まさに「言葉のジャングル」状態。この山から、自分が選んだ本への3つの質問に対する答えを3枚ずつ探し、発表する。
「挑戦してみる」「成長と自分の満足は両輪」「自然そのもの」。私の「自由って何ですか?」の問いに対し、付箋に書かれた答えだ。まったく関係ない本から抜き出したバラバラの言葉が意味を持って動きだし、自分が漠然と抱いていた悩みや不安に対するヒントのように気付きをもたらす。
最後は読書会のハイライト、シェアの時間だ。この日感じたことや、言葉から得たインスピレーションを発表する。「(考え過ぎず)動こうと思った」「自分の本心に気付けた」「言葉が背中を押してくれた。やりたいことをやります」。全員から笑顔で前向きな宣言が並び、3時間の読書会は充実感と高揚感を残して終わった。

自分の正解を

ファシリテーター養成講座を同市などで開く末次克洋さん(42)は、この読書会を「対話と受容の場」と位置付ける。「正解があるかつての社会から、正解が不確かで自分たちで見つけていく時代になった。だからこそ、人の考えや生き方の違いを認め、受け入れる多様性が求められている」と話す。
育児で悩んでいた宮坂さんは「素直な気持ちを出せる安心な場」を目指してファシリテーターに。2年半で読書会を25回開いた。宮坂さんが醸し出すほんわかとした空気感や、言葉をいとおしむ姿勢にファンも多い。唐沢祐太さん(34、伊那市)は「宮坂さんだから、何でもしゃべれる」と言う。
本や言葉の力を借りながら大人が本音で語り合い、行動につなげていくための読書会。参加してみて、自分の中にぼんやりとあった方向性が言葉で可視化され、今後の指針になってくれる気がした。
次回は来年1月以降を予定。問い合わせはメール(atarashii3katachi@gmail.com)で。

【リード・フォー・アクションの読書会】 東日本大震災を契機に、新しい大人の学びの場を―と、一般社団法人「リード・フォー・アクション」が提唱。同法人認定のファシリテーターが進行役を務める読書会は全国で開かれ、年間の参加者数は1万人を超える。数分といった短時間で作業を区切る会の進行方法や使う小道具なども、脳科学や心理学に基づき設定されている。

(佐竹伸子)


投稿者: mgpress