ゆめまるHAPPY隊 「被災犬」保護にシェルター新設

今、できることを台風災害でも

国本和哉さん ゆめまるHAPPY隊代表・松本市

「被災犬」を飼い主と一緒に暮らせる環境が整うまで無償で預かります―。
やむを得ない事情で手放された犬や、保健所の保護期間が切れた犬たちを保護し、「里親」探しなどをしている松本市波田の「ゆめまるHAPPY隊」(国本和哉代表)が、「被災犬」を受け入れるためのシェルターを新たに設置した。
隊発足のきっかけは2011年の東日本大震災。国本代表(54)と妻の智子さん(47)が被災地へボランティアに入った際、置き去りにされた犬や猫がうろついている姿を目の当たりにした。
以来、「今、できることを」をスローガンに掲げ、犬の殺処分ゼロを目指してきたHAPPY隊。県内を襲った大災害にも「今、できることを」と動いた。

震災契機に発足殺処分はゼロに

HAPPY隊のシェルターは、今回新設した分も含め、松本市波田の国本和哉代表の自宅隣にある。
最初のシェルターは東日本大震災のボランティアから帰った後、同市梓川に設置。被災地から連れ帰った犬や依頼された犬を預かり、元の飼い主の生活が安定するまで保護したり、新たな飼い主を探したりする活動を始めた。
飼育を放棄されたり迷子になったりした犬も保護。12年には松本市など近隣の保健所から保護期間が切れた犬を受け入れるようになった。土地が手狭になったことなどから、14年にはシェルターを波田に移し、ドッグランなども整備した。日本ペット技能検定協会や日本愛玩動物協会が発行する「セラピードッグトレーナー」「愛玩動物飼養管理士」など資格も取得した。今ではシェルターに常時、70匹ほどがいる。
活動を始めてから、地域で殺処分される犬は減少した。松本保健所では2010年度、保護や引き取った犬231匹のうち46匹が殺処分されたが、隊が保健所から引き取りを始めた12年度には、収容した158匹のうち殺処分は3匹と激減。以降、14年度の1匹を最後に昨年度まで同保健所の殺処分はゼロが続いている。

犬の終生育成や啓発活動にも力

HAPPY隊は、犬の保護や飼い主探しだけでなく、病気や問題行動があるなどで譲渡できない犬の終生育成や、「捨てない」「産ませない」「迷子にさせない」ための啓発活動にも力を入れる。
犬の食費、治療費、飼育費、施設にかかる費用などは年間数百万円にも上る。活動費の大半は、寄付や、活動に賛同する70人ほどの会員からの会費などで賄うほか、県の地域発元気づくり支援金や、公益財団法人「県みらい基金」からの支援資金も活用している。
会員など20人ほどがボランティアで犬の世話などをしてくれている。「手伝いたい」との申し出も多いが、人が入れ代わり立ち代わり来ると、犬が不安になったりほえてしまったりするため、毎週定期的に来られる人に限っているという。
「熱心に通ってくれるボランティアや、支えてくれる多くの人のおかげで活動できる」と智子さん。国本さん夫妻も仕事の傍ら、手弁当で隊を支える。

県内襲った台風利用を呼び掛け

日常の活動を続けながらも、隊の発足当初に活動の柱にしていた「被災犬の救援」を充実させる必要性も感じていた和哉さん。昨年から準備を始め、今年9月に被災犬用のシェルターを新設。空調など受け入れ環境も整えた。
各市町村や団体を回り、応援や登録などで協力を呼び掛けようと動きだした矢先、県内を台風19号が襲った。和哉さんは「関係各所と連携する態勢を取る前に災害が起きてしまった」と悔やむ。
台風19号の災害から1カ月余。「避難生活に疲れが出る時期。犬と一緒に暮らせる環境が整うまで、安心して利用してほしい」。和哉さんは、フェイスブックなどSNSも活用しながら、シェルターの活用を呼び掛けている。
活動の詳細はホームページ(「ゆめまるHAPPY隊」で検索)。

(上條香代)


投稿者: mgpress