スポーツショップ安曇野 スキー用品宅配顧客開拓に挑む

バンド活動経営に生かして
元ミュージシャン 藤田竜也さん スポーツショップ安曇野社長・松本市

スキー、スノーボードはシーズンを通して宅配レンタルで―。
スキー用品などの販売とレンタルの店「スキープロショップ安曇野」(松本市元町1)を運営する「スポーツショップ安曇野」。ネット宅配サービス隆盛の波に乗り、レンタル事業を拡大した。
主なターゲットは1シーズンに3回以上スキーやスノーボードを楽しむ人。「その都度レンタルの手続きがいらず、自分に合った板が毎回使え、料金もお得」を前面に、売り上げを7年間で2・5倍に伸ばした。
経営するのは元ミュージシャンの藤田竜也さん(35)。スキー人口が1990年代のピーク時から3分の1程度に減る中、ミュージシャン時代に培ったプロデュース力を事業の拡大に生かしている。

地元で音楽活動CDリリースも

藤田竜也さんは高校卒業後、松本や大町出身の5人で結成したバンド「CamelRush(キャメルラッシュ)」のボーカリストとして、松本を拠点に活動した。
吉祥寺(東京)のライブハウスで音楽プロデューサーに声を掛けられ、2006年に22歳で大手レコード会社と契約、CDをリリースした。信越放送のテレビ番組「いくJ1!山雅TV」のテーマソングに楽曲が起用されたこともある。
「スポーツショップ安曇野」は、父の裕一郎さん(63)が1988年に松本市島立で創業。竜也さんはまだバンド活動をしていた12年、家業を継ぐため28歳で入社した。翌年、店の仕事に専念するため、バンド活動を休止した。

父の会社に入社ネット事業展開

ミュージシャン時代は、楽曲作りのための市場調査やイメージ戦略に向けたブランディングなど、自身でプロデュースも担当していた竜也さん。その際、「さまざまな分野や角度から、新しい方法を検討する思考力が養われた」と話す。
入社後、店の状況を見て「広告の部分が整備されていない」と、まず同店のウェブ制作に着手。その作業を進める中でネットを利用した宅配レンタルの可能性に着目。運送会社との契約やウェブデザインなど準備作業を進め、そのシーズンから早速、実行に移した。
ネット宅配レンタルの利点は、1店舗で事業が全国展開できること。以前は店舗でスキー用具を販売し、スキーシーズンには安曇野市内のショッピングモール内などでレンタル店を営業。顧客は地元のスキー場の利用客にほぼ限られていたが、現在はネットを通じて北海道から九州まで顧客が増えた。
利用者にとって、シーズンレンタルは自分に合った板でそのシーズンを楽しめ、オフの間の管理や手入れも不要なのがメリット。ネット宅配レンタルの料金は、大人のスキー3点セットが1万1200円(返却の送料は利用者負担)からで、3~4回以上スキーに行けばその都度借りるよりも安くなる。特に成長期の子どもにとっては、靴の大きさや板の長さを毎年変えられる利点もある。
貸し出しは店でもしているが、主流は利用客の約6割を占めるネット宅配レンタルだ。事業拡大に伴い、手狭だった島立の店舗を閉め、今年9月に元町へ移転。今シーズンからは、新店舗でさらに営業を強化していく方針だ。

一度離れた音楽地元歌手と再び

バンドとしてのキャリアは休止した竜也さん。だが、現在はミュージシャン時代に交流のあった山形村出身の歌手、azufeeling(旧名・渡梓=わたりあずさ)さんのプロデュースを手掛けている。
竜也さんもかつてCDを出したものの、いわゆる「インディーズ」としての契約だった。一方、彼女と共同製作した曲は、大手レコード会社から発売。バンド時代にはできなかった「メジャーデビュー」の夢を果たした。
音楽の世界で培ったプロデュース力を事業に役立て、昨年、2代目社長に就任した竜也さん。「本業はあくまでもスキーショップ」としつつ、今度は本業で発揮したプロデュース力を、好きな音楽の世界で再び生かし始めている。

(嶋田夕子)


投稿者: mgpress