20代の猟師 解禁日の鳥撃ちに同行 責任胸に非日常楽しむ

恵まれた“縁”一生の趣味に

狩猟の解禁日(15日)が過ぎ、今年も猟師たちが山や川へと繰り出している。信州大経法学部3年の針田大輝さん(21、松本市)もその一人。今季が狩猟デビューという松本大特別調査研究員の平林洸さん(23、同)と共に、解禁日に鳥撃ちに出た。猟師の高齢化が進む中、20代前半の2人は異色かつ頼もしい存在。何が彼らを引き付けるのか、同行して探った。
日の出と共に猟を始めた2人は午前7時半頃、松本市内の犀川沿いで鳥を探していた。2年目の針田さんは早速、20羽ほどのカルガモの群れを発見。静かに近寄り、パーン、パーンと散弾銃を放った。「1羽、仕留めました!」。膝まで水に漬かりながら対岸へ回り込み、撃ち落とした獲物を手にガッツポーズ。
仕留めた鳥は自分でさばき、料理して食べるようにしている。「命を大切にしたいのと、放置すると生態系を乱してしまうので」と針田さん。
その後、移動してキジやヒヨドリを探す。撃ってよい鳥の種類は決まっており、注意深く見分ける。デビューを飾る獲物を探す平林さんは、空気銃の引き金を何度か引いたが空振りし、「簡単に当たると思っていたけれど、難しい」と苦笑い。しばらく粘ってヒヨドリ1羽を仕留めた。

針田さんは奈良県出身。もともとクレー射撃に興味があり、昨年練習場に行き、そこで狩猟をする人に「一緒にどう?」と誘われたのがきっかけ。20歳から取れる銃猟免許を昨年取得し、猟期の毎週末に松塩筑猟友会員とシカなどを撃ちに行くようになった。
「一番、恵まれたのが“縁”。自分より何十歳も上の、職業もさまざまな社会人と仲間になれたことに感謝している。地域の伝統や歴史も教えてもらえるし、獲物を追い掛けて山を歩く『日常の中の非日常』がとても楽しい」。大学では出合えない世界に「価値観が変わった」という。
長野市出身の平林さんは、幼い頃からキノコ採りや魚釣りに親しんだ。親戚の猟師が、捕ったイノシシを鍋で振る舞ってくれたことがあり、「ものすごくおいしかったし、格好よかった」。
いつか自分も趣味でやりたいと、社会人になった今年、始めた。「狩猟とアウトドアクッキングを楽しみたい」と夢を抱く。
2人の出会いは会員制交流サイト(SNS)。狩猟のテーマでつながり、家が近かったため一緒に猟に出るようになったという。

針田さんは月に2、3回は射撃場に練習に行き、技術を高める努力を怠らない。二人は「法令順守と安全第一。一生の趣味として長く楽しみたい」と空を見上げた。

(井出順子)


投稿者: mgpress