手から幸福感を伝えたい セラピストが子どもたちに普及活動

手をマッサージすることで得られる幸せな気分を感じる人が1人でも増えれば、手で人をたたいたり、傷つけたりできないはず─。
ハンドマッサージで癒やしを与える「ハンドケアセラピスト」が、そうした思いや幸福感を子どもたちに広めることで、いじめや虐待をなくしていこうと活動を始めた。
松本市などのハンドケアセラピストでつくる「hands for you(ハンズ・フォー・ユー)」松本チーム。11月29日、同市筑摩小学校の授業でハンドケアのワークショップを開き、30人余の「キッズハンドセラピスト」が誕生した。
手は何のためにあるの?
人に優しさを伝え、幸せになってもらうためだよ
松本チームのメンバーが子どもたちに伝えたい共通のメッセージだ。

人に優しさを伝える手に
マッサージ 授業で教え

松本市筑摩小学校4年2組の教室。黒板に「心の学習」と書かれている。「hands for you」松本チームの坂本あゆこさん(48、同市神田)、山本真琴さん(45、東御市)、浅井千鶴さん(51、池田町池田)の3人を講師に迎えたワークショップ(授業)が始まった。
「人がにこにこしていると、周りもにこにこ幸せになる。これを幸せの波及効果というんだよ」と坂本さん。頭をなでる、抱っこする、ハイタッチする、けがをした時に手当てをする―。手が持っている幸せのパワーについても触れた。
山本さんは、ハンドマッサージの効果を説明。手の疲れを取ったり体が温まったりするのに加え、“幸せホルモン”とも呼ばれるオキシトシンという物質が出て「幸せな気持ちになります」と伝えた。
次は実演。オイルを手に取り、肘から下全体に優しく広げる。指を隙間が開かないように握り、ひねる。児童はポイントを聞き、山本さんのデモンストレーションを見ながらハンドマッサージに挑戦した。
2人1組になり、教えてもらったように相手に施す。しばらくすると、「気持ちいい」「眠くなっちゃった」といった声があちこちから聞こえてきた。増沢しほりさん(10)は「気持ちいい。笑いが出て楽しい」。松本壮司朗君(9)は「気持ちがよくて、半分寝てた。相手が笑顔になると、またやってあげたいと思う」と満足そう。
ワークショップを受講した子どもたちは、松本チームから「キッズハンドセラピスト」の称号をもらう。山本さんから一人一人に修了証が渡された。「今日帰ったら、おうちの人にもぜひ、やってあげてね」。山本さんがそう呼び掛けると、児童は元気よく「はい!」。クラスに笑顔があふれた。

「広めたい」 夢の第一歩

松本チームの中心メンバーの坂本さんは、中学2年の長男、小学4年の長女の母親でもある。長男が乳幼児の時にベビーマッサージの資格を取得。幼子との触れ合いに役立った。子どもたちが成長すると、ハンドケアセラピストの資格を取り、大きくなったわが子とのコミュニケーションに活用した。
今年3月には「もともと興味があった」という、日本能力開発推進協会が認定する「ポジティブ心理学実践インストラクター」の資格を取った。ポジティブ心理学は1998年、アメリカの心理学者マーティン・セリグマンさんが提唱。人が充実感や幸福感、生きがいなどを得るために、何ができるかといったことを追究する学問だ。
ポジティブ心理学を学ぶ過程で、以前から実践していたハンドケアセラピーの効果と、同心理学の目的とが坂本さんの中で重なり合った。子どもへの虐待を報じるニュースを目にし、子どもたちへのハンドケアセラピーの普及を思いついた。
筑摩小でのワークショップを「キッズハンドセラピストを全国に広げる夢の第一歩」と話す坂本さん。「学校の親子レクリエーションや体験会など、興味がある人がいれば、ぜひ声を掛けてほしい」と話す。
(八代けい子)


投稿者: mgpress