「ガールズケイリン」黒河内さん優勝

県拠点選手で初

松本市出身のガールズケイリン(女子競輪)選手、黒河内由実さんが(24)が念願の初優勝を果たした。
11月22日、千葉県の松戸競輪場で開かれた第13回チャリロト松戸杯ガールズの決勝。2番手に1車身差をつけ、ゴールに駆け込んだ。黒河内さんが所属する日本競輪選手会新潟支部によると、長野県を拠点にする女子選手の優勝は初めてだ。
「プロになって4年目。自分ではこんなに早く優勝できるとは思っていなかった」
猪突(ちょとつ)猛進で挑んだ、自分の干支(えと)でもある亥(い)年に、優勝という「夢」の一つがかなった。「来年もがんがん走ります」

猪突猛進で挑みつかんだ「夢」
インコース空き一瞬の隙を突く

11月22日、第13回チャリロト松戸杯の最終日。天候は雨。この日のレースは、インターネットでのみ車券が発売される「ミッドナイト競輪」だったため、場内に客の姿はなかった。
黒河内由実さんが出走したガールズ決勝の第6レースは、午後11時すぎにスタート。7車立て。黒河内さんはスタート直後、本命選手の後ろの4番手に付ける。残り1周半。勝負どころを知らせる鐘が鳴った。まだ前に出ない本命にしびれを切らした後続が、アウトコースから前へ。本命の出方をうかがう他の選手たちがけん制し合っているうちに、インコースが空いた。その一瞬の隙を突いて抜け出した黒河内さん。そのまま差し切った。
決勝レース進出13回目で手にした初優勝。ゴールの瞬間、黒河内さんは「ふっと横を見たら誰もいなかったので、勝ったかもと思った」。無観客レースのため周囲は静か。勝利が確定しても「実感がなかった。顔は笑っていたが、派手に喜べなかった」と振り返る。
レース内容については「展開に恵まれ『ごっちゃんです』という感じ。自分らしいレースじゃなかった。結果は最高だったけど、内容は満足できない。でも勝つ時ってそんなものなのかも」。
昨年8月、練習拠点を新潟県から地元の松本市に移した。「4月から、地元の男子選手に手伝ってもらい、走り込みの質、量ともにレベルアップしたのが結果につながった」と分析する。

来年もがっつり
勝負師の目光る

プロデビューは2016年7月、豊橋競輪場(愛知県)。以降、黒河内さんの出走回数は、3年余で311回(5日現在)、今年だけでも97回出走している。ガールズケイリンは1年を前後期に分けており、各期の最低出走回数は23回。今年は既に年間最低出走回数の2倍を超えた。
理由は黒河内さんが月2~3場所分配されるレースのほかに、レース開催前に欠場選手が出た場合の「追加斡旋(あっせん)」、開催中に病気や落車で人数不足になった場合の「補充選手」の要請を積極的に引き受けているからだ。
急きょの要請を断る選手も多い中、黒河内さんは「レースが楽しいから。小遣い稼ぎにもなるし」と屈託がない。初優勝も「『これだけ走ったんだから』と、競輪の神様がくれたプレゼント」とほほ笑む。
黒河内さんの現在の年収は、「女子選手の平均」とされる600万~700万円。「あればあっただけ使っちゃう」性格で、「一昔前の選手みたい」と笑われることも。初優勝で自分へのご褒美として「ワイヤレスヘッドホン」を買った。
競輪は「欲しい物がいっぱいあるから」という物への欲求を満たしてくれる。さらに目標を設定し、それに向かって自分を追い込めるのも競輪。「そのどちらも好き。この世界が自分に合っている」という黒河内さん。
来年の目標は、年末恒例の成績優秀者7選手による一発勝負「ガールズグランプリ」のトライアルレースへの出場だ。
「来年もがっつり走って、目標を達成したい」。勝負師の目が光った。

【ガールズケイリンの勝ち上がり方式】
14人が出場し、3日間で競う。初日と2日目に予選を2レースずつ行い、各レースの着順をポイント換算。上位7人が最終日の決勝レースに進み、それ以外は一般レースにまわる。競争距離は1600メートルを基本にバンク(コース)の長さによって周回数を決める。
(浜秋彦)


投稿者: mgpress