[創商見聞] No.42 戸田力也 (RANS WORKS)

―事業承継で、電気店を引き継いだ
 2016年に、ルームエアコンの施工を主な業種とする会社を興しました。現場でお客さまから、取り付けだけではなく商品も購入できないかという声があり、それなら店舗があったほうがスムーズに対応できるのではないかという考えはありましたが、すぐには着手できなかった。
  事業は軌道に乗りましたが、個人事業では契約ができないなど難しい部分も出てきたことから、18年には法人にしました。資金面では苦労しましたが、しっかりとしたプランをつくれば対応してもらえると聞き、事業計画の作り方など、とにかく勉強しましたね。
 金融機関に相談する中で、事業承継の相談や仲介をする長野県事業引継ぎ支援センターがあることを教えてもらい、そのセンターを通して、市内神林で長年営業していた電気店さんが後継者を探していることが分かったんです。早速お会いして、電気店を譲っていただけることになりました。そのオーナーさんは、承継の登録をして2年ほどたっていたものの反応がなかったことから、売却を考え始めていたようで、とても喜んでくれました。
―商工会議所の支援も大きかった
 やはり金融機関から、事業承継補助金があり、商工会議所に相談にいくように教えてもらったんです。商工会議所には、以前、ルームエアコンの白いパネルに柄をつける実用新案権を出願する際に大変お世話になり、無事権利を取得できたという経緯がありました。今回も大変お世話になり、おかげさまで補助金を上位採択でいただくことができました。
 私たちのように若い世代では、商工会議所が何をするところかあまり分からないし、どこか堅いイメージがあったのですが、とても丁寧にいろいろと教えていただきました。書類の書き方なんて全く分かりませんからね。本当に助かりました。
―どんな店づくりを
 コンセプトは、ガーデニングの店のような電気店。ただ商品を並べるだけでなく、実際に自分の家に置いたときどうなるのか、イメージしやすいレイアウトにしたいと考えています。また、家電とトータルコーディネートできるように、ソファやテーブルなどのインテリア、雑貨なども販売します。商品そのものの良さを紹介できるのが、量販店にはない、〝まちの電気屋さん〟の良さではないでしょうか。
 2階はカジュアルレストランにします。キッズスペースも設け、子育て中のママたちや地域の皆さんが気軽に立ち寄れて、ゆっくりしていただける空間です。将来的には大型画面でのスポーツ観戦や料理教室なども開きたいですね。また、例えばハンドソープなどを洗面所において使ってもらい、気に入ったら1階で購入できる、そんな流れもつくりたいと思います。
―今後の事業展開は
 やりたいことがたくさんあり、さまざまな職業に就きました。その中から自分には何が向いているのか、何が向いていないのかが分かり、今のスタイルができました。この経験をこれから生かしていきたい。
  リスクのことを考えると、独立はしたいけれどちゅうちょしてしまう人が多いと思います。独立すると休みもなく一生懸命働かなければいけないんじゃないかとか。でも、そうではなく、事業主だってしっかり休日が取れる、しっかり稼げる、そしてリスクが少ない―。そんなパッケージプランをつくって、独立したい人を後押しし、仲間を増やしていきたいと考えています。

新装されたショールーム。電化製品だけでなく家具などのインテリアも全て商品。2階のカジュアルレストラン。キッズルームも完備。