「あいまいな表現」が理解しにくいタイプのお子さんにとっては「ちょっと」とか「結構」といった「程度」を表す言葉を、状況に応じて表現したり、ニュアンスを読み取ったりすることがうまくいかない場合があります。そういうときに、スケールを用いて程度を伝え合うと、具体的で分かりやすくなります。
例えば、声の大きさ。「0」は声を出さない、「1」は内緒話の声。そして「5」は助けを求める声=図=などと具体例を挙げて、0~5まで並べます。「授業中に発表するときはもっと大きな声で」と言うより「3の声で」と言った方が分かりやすいのです。
スケールは他に、好きの程度、痛みの程度、イライラ度、疲れ具合、心配度…など、さまざまな度合いを表すことにも応用できます。
小学2年生のA君は、無口で、質問をしても面倒なことには「別に」「普通」「分からん」「忘れた」と答えます。学校から帰ってきて、いかにも疲れているようだったのでお母さんが「疲れているんじゃない?」と聞くと「別に」と答えました。
そこで疲れ度スケールをホワイトボードに作り、今の疲れ度をマグネットを置いた位置で示すようにしたところ、口頭では「別に」と答えていたのに、スケールでは「4」を選んだのです。そこで「そんなに疲れているなら、買い物は一緒に行かないで家で待っていようか」と提案し、そうすることにしました。
こんなふうに、スケールを使うことで自分の気持ちや状態などを意識化することにつながったり、口頭ではうまく表現できないことが表現できたりもします。
【なないろキッズ】 #31 スケールで状態を意識化
- 2019/12/17
- 小児科医・新美妙美のなないろキッズ