ライフオーガナイザー・小坂晶子さんに聞くーシニアのための片付け術

還暦などを機に物を減らしシンプルな生活に移行する人が増えています。大切な品々は残しつつ、すっきりとした空間でセカンドライフを充実させてみませんか。整理や収納のヒントをハウスクリーニングなどを手掛けるパワー・ケー(松本市野溝東)のライフオーガナイザー、小坂晶子さん(49)に聞きました。

物を減らす・整理・維持

作業前に、まず思考を整理します。実はこれが1番大切。「片付いた暮らしでどういう人になりたいのか」をイメージしてください。そうすることで、身の回りの品々がこの先の自分の生活に必要か不要か分かります。
例えば「孫や家族が遊びに来て楽しく過ごせる家」や「すっきり広々として深呼吸できる家」というようなイメージです。その暮らしを実現するために、今の問題点を挙げます。キーワードを紙に書き出すのもいいでしょう。可視化することで、何を変えたらいいか見えてきます。
「理想の暮らし」へのステップは3つ。第1は「物を減らす」、第2は「整理」、第3は「維持」です。
まず第1の「物を減らす作業」。洋服でやってみます。一度、全部出してみて、「好きで着ている」「好きだけど着ていない」「好きではないけれど着ている」「好きでなく着てもいない」に分類します。
処分に迷う「好きだけれど着ていない」服は、大切な人に贈ったり、リサイクルに出したりすれば手放しやすい。「好きではないけれど着ている」は必需品のようですが、思い切って処分したら「好きで着る」服に出合えるかもしれません。
その場で決心できなければ、とりあえず段ボール箱にまとめ、その気になったら処分する方法もあります。やみくもに減らすのではなく、思い出の品や自分の価値観で大切な物は残しましょう。しまい込むより、専用コーナーを設けて飾るなどすれば楽しいです。
第2ステップは「整理」です。収納は空間の7割程度を占めるのが一番管理しやすい。生活動線を考え、使う場所の近くにしまうことが大切。用途別にまとめるのもお勧めです。
例えば「葬儀セット」として、数珠や香典袋、筆ペンなどをかごなどにまとめておくと、探す労力が省けますし、消耗品が減っていたら、買い足せます。保険証や通帳など重要書類や印鑑もまとめ、急な入院などの際、置き場所が家族に分かるようにしておくことも大切です。
収納用品を買うのは、物を減らしてから。置きたい場所のサイズをしっかり測りましょう。定番品を選ぶと、買い足す時に統一感が出ます。
第3ステップは「維持」。使ったら元に戻す習慣を付けます。出しっ放しにしてしまうのは、戻す場所が適切でないからかもしれません。検証してみましょう。また「床に物を置かない」ことも気を付けて。すっきりした生活の基本です。

加齢が進むと視力が落ち、散らかった部屋で何かにつまずいたり、もの忘れが増え、しまった場所が分からなくなってしまったりします。また、体力も衰えるので重い物が運べなくなります。
そのままにしておくと自分が亡くなった場合に、子どもや家族が時間と費用をかけて片付けなくてはなりません。大切な人を思いやる意味でも物を減らしましょう。早く始めれば、理想の暮らしを長く続けることができます。年末に向けて「まずは1カ所」くらいの気楽な気持ちで。
(井出順子)