【ガンズリポート】布新監督就任記者会見 「難しさ覚悟全力で」

「素晴らしいクラブから、素晴らしい監督の後任に-との話をいただき、とてもうれしく光栄。非常に難しい仕事だと覚悟はしているが、全力を尽くしたい」と決意を示した。
サッカー松本山雅FCを来季から率いる。市立船橋高校(千葉県)を高校サッカーの強豪に育て上げるなど若手育成に定評のある布啓一郎新監督(58)。戦力の底上げと、J1への再昇格、そして定着へ-。山雅ファンの期待は大きい。「欲張りは承知の上で、新監督の手腕に期待している」と、15日に松本市で開いた就任会見に同席した山雅の神田文之社長(42)。
初の松本暮らしに、「そばと温泉が好きなので、その辺も楽しめれば」。来年1月13日、まつもと市民芸術館で選手と指導陣の新体制が発表され、「布山雅」は本格始動する。

新体制整うまで期待と不安半ば
喫茶山雅で聞く

サッカー松本山雅FCの布啓一郎新監督が就任会見に臨んだ15日、山雅ファンが集まる松本市大手4の喫茶山雅の客に、来季に向けた期待などを聞いた。まだ選手や指導陣の顔触れが固まっていないこともあり、期待と不安が半ばした。
「(7日のシーズン終了から12日の就任発表まで)わずか1週間足らずとは思えない、激動の日々でした」。同市中山台の保高稔さん(52)はそう振り返り、「ただ、新しいスタートを早く切れたのはいいこと」と受け止める。
今季はU-18(高校年代)がプリンスリーグ初昇格を決めたことなどを挙げ、「育成組織にもいい流れができた。トップチームの若手はもちろん、そちらにも目を向け、育ててほしい」と育成手腕に期待した。
伊藤誠朗さん(28、同市井川城)は「若手の力の底上げが必要なのは確か。Jでの実績豊富というわけではないが、現状を考えれば良い人選と感じる」と話す。一方で「大きく変わるチームで、厳しいリーグを戦うことへの不安はある。J2という魔境にからめ捕られ、抜け出せなくなる前に再昇格を」と求めた。

プレースタイル共通する価値観
布新監督会見要旨

布新監督の就任会見要旨は次の通り。
【山雅の印象】
・地域の熱も含めて日本屈指のクラブ
・攻守に勤勉で真面目なサッカーは自分の価値観に響く
・表現したいスタイルに通じる部分がある
【来季の編成】
・強化関係の部署と話をし、手を付け始めたが、具体的な話ができる段階にない
・攻守両面に全員が関わり続ける、アグレッシブなサッカーに向けた体制を目指す
【若手の育成】
・松本山雅の育成組織は確実に前進はしている
・ユースがトップの練習に交じる機会をつくったり、育成組織の指導者と密に意見交換をしたりなど、できるだけ関わっていく

(長岩将弘)

持ち味最大限に起用法に独自色
戦術の特徴は

布新監督は昨季と今季、J3群馬を率い、2位でJ2復帰を決めた今季は、リーグ最多の59ゴールを記録。得失点差25も1位の北九州(24)を上回った。大量得点で快勝した試合も複数あり、攻撃的サッカーの信奉者かと思われがちだが、選手に求めていたのはチームへの献身性であり、堅守速攻を打ち出していた。
むしろ特徴的だったのは、選手の持ち味を最大限に引き出すことだ。テクニックがある選手を中盤に置いて創造性を発揮させることもあれば、より良さを出せるポジションへのコンバートや、大胆な若手の抜てきを行うこともあった。選手が輝けるように腐心し、歯車がかみ合ったからこその大勝劇だったと思えば合点がいく。
反町康治監督からの継続点も多そうだが、反町監督が8年間のほとんどを3バックで戦ったのに対し、今季の群馬は主に4バックを採用していた。新監督は独自色も出してくるに違いない。
(フリーライター多岐太宿)

【ぬの・けいいちろう】1960年、千葉県生まれ。日体大卒業後の84年、体育教師として船橋市立船橋高校(千葉)に赴任し、全国高校総体(インターハイ)と全国高校選手権でそれぞれ4度優勝など、同校を全国屈指の強豪に育て上げた。同校で指導した生徒の中には、川崎の監督として17、18年リーグ連覇を果たした鬼木達、お笑いコンビ・ペナルティのワッキー、2014~15年シーズンに山雅に在籍した大久保裕樹らがいる。
2003年からは年代別代表監督や日本協会技術委員会で若手選手の育成に携わり、15年からJ2岡山でコーチ。18年にJ3に降格した群馬の監督に就き、今季はリーグ2位でチームをJ2復帰に導いた。