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3月まで山形村公民館でこだわり楽しむ講座「おやじ塾」

学び、趣味、仲間づくりの場に
シニア男性対象の講座「おやじ塾」 山形村公民館

南信地方の本格的な五平餅や、松の間伐材の一枚板を利用したスツール(腰掛け)作りを楽しむ年配の男性たちがいる。
山形村公民館が3月まで月1回開いている男性対象の講座、その名も「おやじ塾」。男性の参加が少ないとされがちな公民館の講座に気軽に来てもらおうと、昨年10月に開講した。60、70代の7人が作業を楽しんでいる。
講座の内容は自分たちで決める。五平餅のたれ作りに使うすりこぎは昔ながらのサンショウの木で、スツールもくぎを使わずに木材を組み合わせて作る。何事にも一家言ありがちで面倒な「おやじ」たちのこだわりがあふれている。
同世代とのコミュニケーションの場にもなっている「おやじ塾」をのぞいてみた。

男性少なく敬遠 名称や内容工夫

「おやじ塾」は、おおむね65歳以上の男性が対象だ。従来の山形村公民館講座には参加が少なかった層だが、「何かやってみたい」「趣味や自分の世界を広げたい」と思っている人も多いはず―と、名称と内容を工夫し、初めて開設。学びと趣味と仲間づくりの場に活用してもらおうとの試みだ。
同公民館には従来から、シニア世代を対象にした講座「活(い)き生き塾」があり、毎年20人ほどが参加している。年度初めに参加者で話し合って年間計画を立て、料理や体操、バスハイクなど、さまざまな活動を展開。参加に性別の決まりはないが、ほとんどが女性で、初回に参加した男性が「ちょっと行きづらい」と、2回目から参加しなくなるケースが少なくなかった。
そんな男性に来てもらいたいと、これまでも「男の料理教室」などの講座を企画。だが、参加者がなく、結局実施されないこともあった。
そこで企画したのが「おやじ塾」だ。活き生き塾同様、参加者が内容を話し合って決める形で、参加対象を男性向けにしたところ、6人が「何やら面白そう」と参加。2回目から1人加わった。

「達成感」求めて 本格的な内容に

同公民館主事の上條哲也さん(47)は、当初「バスで酒蔵巡りでも」と考えていたというが、初回の企画会議で「達成感があることをやりたい」「形になるものを作りたい」との声が噴出。その中で飯田市出身の吉澤浩志さん(74、下竹田)が「米と一升釜を用意してもらえれば、南信地方の本格的な五平餅を作ることができる」と提案し、初回の11月は五平餅作りに決まった。
五平餅の形を整える型や串は竹を、すりこぎは乾燥させたサンショウの木を使うこだわりぶり。これらの道具は吉澤さんが作った。当日は米を炊いてつぶすのはもちろん、クルミやユズなどを使って自家製のたれも作り、備長炭でじっくり焼き上げた。
12月と1月はスツール作りに挑戦。精密機械設計の仕事の傍ら、30年ほど前に趣味でログハウスの自宅を建てたという北澤千弘さん(68、下竹田)が「くぎを使わず、間伐材を使ってスツール作りをすることができる」と提案した。
「木工は趣味」と言いながらも、林業士の資格を取得し、現在は清水高原の別荘などで間伐材の伐採や製材などもしているという北澤さん。初回では、3年ほど前に製材して乾燥させた一枚板を前に、参加者に「せっかく自分で作るので、誰が、何の用途で使うのかを考え、それに合った形やサイズを考えて」とアドバイス。まずは各自がのこぎりで板を切り分けた。
電動のこぎりなどは使わず、鉋(かんな)がけまですべて手作業。「やい、曲がったぞ」「これも味わいだ」。楽しそうな声が作業場に響く。削り方のこつや鉋の目の調整、体の使い方など、細かい部分は北澤さんが指導。「(筋肉痛で)明日痛みが来るぞ」「いや、明日じゃなくて明後日か、忘れた頃だな」と、「おやじ話」にも花が咲く。
この日のために鉋を新調したという人も。参加者のほとんどは公民館講座への参加は初めてという。公民館長で「おやじ塾」の参加者でもある百瀬純雄さん(65)は「男性が地域社会に出てくるきっかけになり、そこから交流や自分自身の趣味が、広がったり深まったりできればいい」。上條さんは「進め方や内容など、こちらの想像がつかない部分もあるが、それも面白い。3年くらい後、参加者やこの塾がどうなっているか、楽しみ」と話している。

(上條香代)