自分の意思を言葉で伝えることが少ないお子さんや、うまく言葉で表せず、いらいらしやすいお子さん、知識や情報はたくさん話すけど気持ちを伝えるのが苦手なお子さん|。こういった子どもとコミュニケーションを取る際に、選択肢を示すと言いたいことが整理できて表出しやすくなることがあります。
A君は小学1年の男の子。寝起きがとても悪く、朝はとても不機嫌で身支度がなかなか進みません。元々食が細いA君は、朝食の最中に特にいらいらしがちです。その日の気分で食べたいメニューが変わるのに、「何を食べたい?」と聞いてもぼーっとした頭では思い浮かばないのか答えてはくれず、何度も繰り返すと怒ってしまいます。
善かれと思って好物の目玉焼きを出しても、「今日は納豆ご飯が食べたかったんだよ!」と、なります。夜に翌朝食べたいものを聞いても、朝になると気が変わってしまい、うまくいきません。
そこで、朝、その日に提供可能なメニュー=写真=を書き、選んでもらうことにしました。「何が食べたい?」と聞いても答えなかったA君も、選択肢があるとイメージしやすく、指差しで答えてくれて、選んだメニューをスムーズに食べられるようになりました。
このように選択肢を示すと答えやすくなることがあります。選択肢は口頭でもよいのですが、質問者の選んでほしいものが暗に伝わりプレッシャーになったり、たくさんの選択肢を覚えきれず最後の方に言われたものが自然と答えやすかったりするので、メモに書いて示した方が、冷静になって本当の気持ちに近い選択ができるようになります。なるべく視覚的に提示することをお勧めします。
【なないろキッズ】 #32 選択肢を視覚的に提示
- 2020/01/14
- 小児科医・新美妙美のなないろキッズ