【なないろキッズ】 #33 選択肢示し気持ちを確認

今回も前回に引き続き、選択肢を提示するコミュニケーションの方法についての話です。
元々、意思を伝えることに積極的でないお子さんが、たまに意思表示をしてみたのに、相手に何げなく意見されたり、否定されたりしてしまうことが重なると、「面倒なことになるぐらいなら言わないでおこう」と、だんだんと意思表示をせずに、受け身になって言われた通り従ってしまいがちになることがあります。
大人からすれば言うことを聞く子どもに見えますが、実際にはストレスがたまりますし、直前になって拒否するなど、かえってトラブルになったりしがちです。
A君一家は、毎年夏休みに登山するのが恒例です。今年も朝から夕方までかけて山に登り、山小屋に1泊し、翌朝の御来光を拝むことを「楽しみだね」と、家族で話していました。
お母さんがふと思い立ってA君にメモ書きで「明日の御来光は朝4時半に起きて、山頂まで30分ほど登ります。どうしますか?(1)御来光を見に行く(2)朝起きられたら行く(3)山小屋にいる」と聞いたところ、A君は迷わず(3)に丸をしました。
さらにメモで「御来光を見に行かない理由は何ですか?(1)早起きしたくない(2)山頂まで登りたくない(3)御来光に興味がない(4)その他」と、尋ねたところ、(3)と(4)に丸を付けて、(4)の下に「太陽がまぶしいのがきらい」と書き加えました。
息子がそのように感じていたとは思いもよらず、驚いたお母さんでしたが、本人の気持ちを尊重し、翌朝は山小屋にA君だけを残すことにしました。
このことがきっかけで、お母さんは、選択肢などを示しながら本人の気持ちを確認し、意思表示した場合は、その思いを尊重するように心掛けたところ、少しずつではありますが、A君はメモを用いて意思表示することが増えました。