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ネット配信の今、アナログで MC Mystieさんが音楽プロジェクト

4年で10作品グラミー賞狙う

インターネットで受信し、定額制のサブスクリプションで音楽を聴く時代に、4年かけて10枚のアナログレコードをリリースするプロジェクト「45RPM」を始めた。
大町市八坂のミュージシャン、MC Mystie(エムシー・ミスティー)さん(46)。日本語、英語、スペイン語に加え、神社の祝詞も交えて表現するアーティストだ。ラップ(Rap)、詩(Poetry)、神話学(Mythology)の頭文字から名付けた「RPM」という独自の音楽スタイルを売りにする。
同プロジェクトの第1作「灰色と惑星」を今月リリースした。レコーディングは自宅のスタジオ、ジャケットは近隣住民が地元公民館で紙を折って作る「Made in 信州」で、米音楽界最高の「グラミー賞」を目指す。

第1作を45歳に地元住民協力も

大町市八坂の自宅に併設する自らのスタジオ「ViV Studio」で行われた、MC Mystieさんと、「ジャズパンク」と呼ばれるトリオ「F.I.B JOURNAL」のセッション。歌詞も楽譜もない空間に、音が、歌が、どんどん重なり、世界が広がっていく。
日本語、英語、スペイン語、祝詞…。「心地よい音が聞こえたら自然に言葉が出て、乗っかっていく」。Mystieさんが心と体で音を感じ、発する言葉が連なる。
「45RPM」のプロジェクトは、イベントで信州を訪れた東京の音楽仲間と、自宅スタジオでセッションする中で着想。第1作のリリースを45歳に設定して進めてきた。
デジタル音楽全盛の昨今、アナログレコードにこだわった。幼いころに聴いた美空ひばりのレコード。その温かな音色に心を打たれた記憶が、レコード作りの根底にある。「ソロとしてリリースするなら、絶対レコードと昔から決めていた」とMystieさん。
両A面になっている「灰色と惑星」のレコードジャケット作りは地元住民が協力してくれた。タイトルデザインされた紙を、丁寧に折ってジャケットに組み立てていく。音楽で地元に貢献したい、さらに地域産業の一つに育てたい―。そんな思いが詰まったジャケットが完成した。

デビュー決まるも白血病発症し白紙

Mystieさんの本名は鳥居史子さん。京都市出身。曽祖母は古神道で信託を受けて伝える審神者(さにわ)で、祝詞を子守歌替わりに育ってきたという。中学時代から、大学生らと一緒にバンド活動を始め、ヒップホップを究めたいと15歳でアメリカに渡った。
2003年に帰国。ソロミュージシャンとしてメジャーデビューも決まっていたが、2年後に白血病を発症。デビューは流れた。余命1年半の宣告を受け、一時は死を覚悟したことも。そうした中で音楽が心の支えとなった。健康を回復するとバンドを結成、09年には念願のメジャーデビューも果たした。
療養も兼ね、夫で音楽レーベル「SSS Record」代表の強志さん(40)の実家がある松本市に移住。その後、安曇野市への転居を経て、14年、大町市にスタジオ併設の自宅を構え、「信州発」の音楽活動に本腰を入れ始めた。

視線の先は「世界」思ったこと全力で

「灰色と惑星」は、45歳最後の日の2月2日、SSS Recordからリリース。「F.I.B JOURNAL」とのコラボ作品など4曲が入る。全国レコード店などで購入できる。
「10年前の若い時にはできなかったが、45歳になった今なら、誰にもこびることなく、諦めることもなく、一番いい形で思ったことを100%出せる」とMystieさん。視線は、駆け出しのころに刺激を受けたアメリカに、そして世界へと向いている。
(八代けい子)