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Aちゃんは、口数の少ない自閉スペクトラム症の小学2年生。穏やかで我慢強い性格ですが、困ったことがあったり、思いが伝えられなかったりすると泣いてしまうことがしばしばあります。
ピアノを習い始めて半年。毎日練習をしないといけないのに全然練習せず、上達しません。ママが「毎日練習するようにって先生に言われているでしょ。ピアノ好きじゃないならやめたら?」と言うと泣いてしまいました。そこで、泣きやんで落ち着いてから、メモに書いて本人の思いを聞くことにしました。
「ピアノは好き?きらい?」(1)好き(2)きらい(3)好きなときときらいなときがある(4)その他|と書いて聞くと、Aちゃんは迷いながら(3)に丸を付けました。「好きなのはどういうところ?」(1)ピアノの音(2)いろんな曲が弾ける(3)上手に弾けるとうれしい(4)先生とレッスンするのが楽しい(5)その他|と聞くと、Aちゃんは(2)と(4)に丸を付けました。「家での練習はどう?」(1)しないといけないと思っている(2)大変だからやめたい(3)できるときだけやりたい(4)その他|と聞くと、(1)と(2)と(3)に丸を付けて、「学校あるときは疲れちゃうから」と口にしました。
その後、ピアノを続けたいか、練習をどうするか、先生にどう話すかなど、選択肢を使って本人の意思を確認し、それを踏まえてピアノの先生に相談し、レッスンのスピードを緩め、練習は学校がない日のみとしてもらいました。
こうしたやりとりは、口頭だとどうしても大人が誘導してしまう上、大人の声のトーンに委縮したり、大人の思いをくんで本音が言えなくなったりしがちです。
筆談で選択肢を示すことで本人の気持ちが出しやすくなります。気持ちを聞く筆談で大切なのは選択肢に必ず「その他」を入れること。やりとりを重ねていくと、選択肢がなくても自分の気持ちがだんだんと出せるようになっていくものです。