2020.2.10 ウェブサイトをリニューアルしました

教師からジャズシンガーへ 松本市出身・仲澤さんCDデビュー

「人を癒やせる存在になりたい」

仕事で培った英語力を武器に、第2の人生をジャズシンガーとして歩み始めた。
松本市出身で、千葉県の元公立高校英語教師、仲澤信明さん(61、成田市)。昨春に定年退職し、今冬、CDデビューを果たした。初アルバムのタイトルは「LOVE」(全7曲入り)。缶コーヒーのテレビCMなどでよく知られたメロディーの同名曲も収録されている。今夏には松本で「凱旋(がいせん)ライブ」も計画する。
ジャズシンガーとしての原点は母校、松本深志高校の軽音楽部。ジャズに通じる自治自律の校風の中で過ごした3年間が、40年余り後の今を生きるバックボーンとなっている。
「定年後は、のんびり喫茶店でマスターでもやろうかと」。そう思っていた仲澤さんをジャズシンガーの道に駆り立てたきっかけは、教師時代に体調を崩したことだった。

支えになった教え子と音楽

「ジャズと出合って、本当にたくさんの仲間と出会い、たくさんの幸せをもらいました」
「ノブ仲澤」こと仲澤信明さんは、15歳でジャズにはまり、立教大時代はビッグバンドクラブのコンサートマスター兼トロンボーン奏者として活躍。同大3年時に出場した「YAMANO BIG BAND JAZZ CONTEST」で最優秀賞を受賞した。
37年間の英語教師時代、文化祭で教え子の生演奏をバックにジャズソングを歌ったのを機に歌を始め、転任先の高校では次々とビッグバンドを立ち上げるなど、高校生にジャズを演奏する楽しさと喜びを伝えてきた。仕事の傍らジャズ歌手の金子晴美氏に師事。ライブハウスのステージに立つなど研さんを積んできた。
定年まであと5年に迫った55歳の時、多忙を極めた職場でのストレスや人間関係などから体調を崩し半年間、学校を休んだことがあった。自宅にこもり、「このまま学校には戻れないかも」と思ったことも。そんな時、心の支えとなったのがジャズと、復帰をずっと待ってくれていた教え子たちの存在だった。「あの時、本当に救われた。今度は自分が音楽で傷ついた人や疲れた人たちの心を少しでも癒やせる存在になりたい」。そう心に誓ったことが、ジャズシンガー挑戦の道につながった。
CDの収録曲は、過去にライブなどで歌ってきた仲澤さんの思い入れのある曲ばかり。アルバムのタイトル名「LOVE」は、米国の歌手でジャズピアニスト、ナット・キング・コールの大ヒット曲「L─O─V─E」をカバーした。「聴いた人が少しでもほっと温かい気持ちになってくれたらうれしい」と話す。
1月下旬、松本に帰省した際に、地元FMまつもとの番組にゲスト出演した。高校の教員からジャズシンガーとして再スタートした決意や抱負を語ると、古里の知人や全国にいる教え子たちから多くの応援メッセージが届いた。
その番組のパーソナリティーで、ジャズの名盤紹介などもしている“ジャズマスター”こと伊佐津和朗さん(58)は「新人のデビューアルバムとは思えないほど完成度が高く、英語の先生だけに英語の発音もばっちり。何よりも還暦を過ぎてからCDデビューしたのがすごい」と評価する。

凱旋ライブで故郷に感謝を

仲澤さんは中学までは剣道やバレーボールに熱中し、音楽とは無縁だった。中3の夏に訪れた深志高の「とんぼ祭」が転機に。軽音学部の演奏を生で聴き「脳天をたたかれたような衝撃を受けた」。そして、軽音学部に入るために同校を志望、猛勉強したという。
軽音学部では毎日がジャズ三昧。生徒同士が切磋琢磨(せっさたくま)して演奏技術を高め合った。
夏に計画を進める凱旋ライブは、そんな自分を育ててくれた故郷に感謝の気持ちを込める。「つらい時、悲しい時、いつもそばにジャズがあった。音楽は人の心を癒やし、元気にする力がある。音楽の力で世界中の人たちの心を豊かにできたらこんな幸せなことはないですね」

CDデビューアルバム「LOVE」は、ネットショップのほか松本市内では「ライオン堂高宮店」の特設コーナーで販売。2200円。同店℡0263・26・9234
(高山佳晃)