やってほしくないことをやめさせたいとき、「〇〇しちゃ駄目」などと何度言っても全然聞き入れないことがあります。
特に自閉スペクトラムの特性から考えると、イメージする力が弱いので「〇〇しては駄目(禁止)」だけ伝えても、「じゃあ、どうしたらいいのか?」がイメージできず、結局今まで通りのパターンを繰り返してしまいやすいのです。また耳からの情報が入りにくく、禁止の声掛けをされても、自分がやりたい欲求の方が勝ってしまいがちです。
こういうとき、視覚的に示すということに加えて、「×(禁止)だけじゃなく、〇(やっていいこと、代わりの行動)」をセットで示すという手法があります。
年中のAちゃんは、クラスメートと遊んでいると、突然、砂を投げてしまうことが続きました。砂が目に入って危険なので、先生は何度も「砂を投げるのは×(ばつ)だよ」と注意しますが聞き入れません。観察しているとどうやら遊んでいて楽しくなってテンションが上がると、砂を投げてしまうようでした。
そこでメモ用紙に「×すなをなげる」「〇ハイタッチする」とイラストと文字で書き=イラスト、本人に見せて「楽しいときは、ハイターッチ!」と練習しました。Aちゃんはメモを見て分かったようで、次からテンションが上がっても「ハイターッチ!」ができ、砂を投げなくなりました。
やめてもらいたいことを、いくら言っても聞き入れないとき、止めたい行動とともに代わりにやってもいい行動をセットにして、視覚的に見せるというのを心掛けてみてください。この手法は、発達の特性がない子どもにも分かりやすいですよ。
【なないろキッズ】 #35 代わりの行動示して
- 2020/03/03
- 小児科医・新美妙美のなないろキッズ