小学校「プログラミング教育」とは?

2020年度から小学校で「プログラミング教育」が正式導入されます。何をするの?塾も見かけるけれどうちの子はついていける?と心配する親もいます。松本市のプログラミング教育導入を担当する市教育委員会の小川文徳さん(49)に話を聞きました。

身の回りの仕組みを理解 有効な解決方法を身に付ける

─授業にプログラミングという科目が加わるのですか?
「新しい科目ができるわけではないし、通知表にプログラミングという項目が加わることもありません。特別難しい内容を勉強するわけではないので、親御さんには『不安に思うことはありません』と伝えたいです」
─なぜ導入されることになったのですか?
「身の回りでピッと電源を入れるものはどれだけありますか?電気、炊飯器、洗濯機、テレビなど日常生活にあるほとんどの電子機器にはマイクロチップが搭載され、複雑な機能を果たしています。
でも、こんなにも身の回りにあふれているのに、使っている私たちの多くがその仕組みや原理を知らないし、教育にも入っていなかった。情報通信技術(ICT)がますます発展していくこれからの時代を生きていく子どもたちは、それらの仕組みを理解し、より有効、適切に使いこなしていくことが大切だということで導入されることになりました。
プログラマーを育てるのが目的ではありません。プログラミング的思考という、生きていく上での課題解決の方法として有効な思考方法を身に付けることが大切です」
─プログラミング的思考とは何ですか?
「ある事象を解決するために、どんな手順や方法を使えば、より意図した活動に近付くのかを論理的に考えることです。ご飯の炊き方を例にとると、何を準備して、お米はどう量り、炊き方はどうするか?など、持っている知識を使いながら順序や方法を考える力のことです。
第16代アメリカ大統領アブラハム・リンカーンの言葉に『もし木を切り倒すのに6時間与えられたら、私は最初の4時間を斧(おの)を研ぐのに費やすだろう』とあります。やみくもに切るよりも、方法や効率を考えることが大事といった意味で、プログラミング的思考を表していると思います」

算数・理科・総合的な学習で パソコンも順次整備予定

─プログラミング教育の目的は何ですか?
「生活でコンピューターが活用されていることや、問題の解決には必要な手順があることに気付き、コンピューターなどを上手に活用して問題を解決したり、よりよい社会を築いたりしようとする態度を育むこと。プログラミング的思考を通して『生きる力』を育てることです。
これまでの学習で使ってきた紙や話し合いといったツールに、プログラミング的思考が加わります。考え方や学び方のツール、引き出しが増えるイメージです」
─具体的に学校の授業ではどう取り入れられるのですか?
「5年生の算数『多角形』と、6年生の理科『電気のはたらき』の単元で、パソコンを使った授業が行われます。その他では総合的な学習の時間に取り入れられることが多いと思います。
これまで市内の5年生を対象に、プログラミング教材を使ってセンサーで動く信号機や自動ドアを作る活動を行いました。低学年では、パソコンで楽しく遊べるソフトを使ってみようという授業ができると思います。
プログラミング的思考は理科や算数だけでなく、どの科目でも取り入れることができます。パソコンの設置については、各校に1クラスの人数分か2人に1台は用意できるように順次整備していきたいと考えています」
─最後に一言お願いします。
「プログラミング教育は、学齢に合った土に触れる外での遊びなど、実体験の上に立つものです。その上で、例えばコンピューター制御されている信号機の仕組みを学び、それが自動車やロボット掃除機の自動運転システムや衝突防止装置につながっていることを知り、生活の他の課題を解決する力につなげられればいいと思います。
『部屋を効率的にきれいにするためには、何が必要でどんな動きをすればいいのか』など、子どもと一緒にプログラミング的思考をしてみてはいかがでしょうか」
(梅田和恵)