名物「天守」残し再出発 青翰堂書店閉店へ

「学都・松本」を支えた名物古書店「青翰堂(せいかんどう)書店」(松本市大手3)。国宝松本城近くの大名町通りにあり、3層の天守を模した外観が住民や観光客に親しまれてきた。経営者の高齢化などで15日に書店は閉じるが建物は残り、城下町を見守り続ける。
「若い山バトの羽」を意味する「青翰」。なじみだった画家が名付けた。時代の流れを読み、新たな感覚と価値観を提案する店に―との思いが込められている。松本出身の花岡重雄さん(故人)が終戦直後、中心市街地に創業した「花岡書店」が前身。現在地に移転したのをきっかけに現店名に変更した。
郷土誌、歴史、美術書、文学書、和紙を糸でとじた明治時代を中心とした「和本」など学術関係の他、漫画、女性向け雑誌なども置く。古い記念切手や海外の切手、戦中の絵はがきなども扱った。
国宝松本城天守が1950~55年の「昭和の大修理」で覆われ、姿を見られなくなったのを寂しく思った花岡さんが、それまでの店舗を現在の形に建て替えた。「祖父(重雄さん)は商売好きでサービス精神旺盛だった。人が思い付かない、すごいことをやったなと思う」と2代目店主、頼充さん(84)の長女(56、山形県)。
頼充さん夫妻が高齢となり、経営が難しくなったため店を畳むことに。頼充さんは「約70年の長きにわたり、多くの人に来店してもらい、感謝しかありません」。借り手は既に決まっており、貸店舗として再出発する。
長女は「閉店は、両親が元気でゴールテープを切ったということで、うれしい話。この建物は街の顔として新しい人生を送ってほしい」と話している。
15日まで、全品半額(一部除外品あり)の感謝セールを行う。午前10時~午後6時。同店電話0263・32・2333
(浜秋彦)