人の動き生み地域の活力に 贄川宿にシェアハウス「宿場noie坂勘」

滞留、交流につながる場必要

シェアハウス「宿場noie坂勘(さかかん)」。塩尻市の贄川宿で、かつて地域の人から「坂勘」と呼ばれ親しまれた坂本屋旅館の建物を借り、昨年6月から営業を始めた。
「宿主」は、2009年に大阪から信州へ移住してきた辰巳和生さん(33)。広い建物を活用し、10人が新しい事業を始めたり、お楽しみ会などの催しを開いたりしている。
「ベッド(泊まる)、リビング(すみか)、ワーキング(なりわい)の3要素があれば地域に流動の仕組みが生まれる」と話す辰巳さん。人の流れをつくり、とどまる環境にし、活力につなげたい─。そんな思いがある。
「この家は自慢したいくらい格好いい」。信州の宿場を支えた古い建物にほれ込んだ辰巳さんの周囲に人が集まり、また新たな動きを生み出していく。

将来は古里で活性化の力に

辰巳和生さんは小学校の3年間を、山村留学先の小谷村で過ごした。22歳の時に父と2人で小谷村に移住、村の嘱託職員に。過疎化や高齢化などの課題を抱える小谷村を自分なりに元気にしたいと、自宅でゲストハウスを始めた。
行政と連携して地域の活性化をするにはどうしたらいいのか─。そう考えていた時、知人の紹介で知り合い、一緒に任意団体「信州移住計画」を立ち上げた山田崇さんが職員として勤務する塩尻市に興味を抱くようになった。いったん母の住む京都市に住所を移し県外在住者に戻った上で、塩尻市の地域おこし協力隊に応募。2019年1月から隊員として活動を始めた。
「観光地は人が流入するが、滞留、交流につながらない。足りない部分をつくるにはどうしたらいいか」。そう考えるうちに旧坂本屋旅館を知り、ゲストハウス経営の経験も踏まえてシェアハウスをつくることにした。
「宿場noie坂勘」の建物は築90年。6畳または8畳の部屋が計16部屋のほか土間や台所を備えた延べ床面積300平方メートル以上の建物だ。このほかに庭と蔵、畑、さらに山もある。
シェアメイトの1人で健康運動指導士の上原拓斗さん(24)は、ここを拠点に活動する1人だ。松本のアパートで施術の仕事を始めたばかりで、集客に悩んでいたところ、坂勘を知り、昨年11月に会員になった。「いろいろな人が訪れるので、出張サービスなど仕事につながっている。周りの人から刺激を受け、やる気も出る」と話す。
ほかにも活動拠点を持っている2拠点会員の女性は「ここで本を生かしたコミュニティーをつくりたい」とし、応接間に書棚を置く予定。辰巳さんもアンティーク、海外買い付け品などを販売するスペースを設置している。「この経験を、いずれ古里・小谷村の活性化につなげたい」と辰巳さん。
28、29日には、家具や備品、海外買い付け品などの払い下げ市、背骨コンディショニングの施術会、除菌ジェル作りのアロマワークショップなどがある「坂勘お楽しみ会」を開く。問い合わせは辰巳さん℡090・5992・2206

【宿場noie坂勘の利用】
シェアメイトは月額3万5000~4万5000円(光熱費込み)。2拠点会員は月額5000円で、月に5日間利用可能。4月からは、シェアメイトの家族、友人、イベント参加者を対象にした宿泊(1泊3500円)も始める。

【お楽しみ会の催し】
上原さんによる「背骨コンディショニンググループレッスン&施術体験会」は午前10時から。各限定6人で、3500円。要予約。東京のアロマスクールのアロマセラピスト齊藤夏美さんによる「ウイルス撃退!アロマで除菌ジェル作り体験」は午前11時半~午後0時時半で、1000円 。
(八代けい子)