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“映画愛”伝わるコレクション 松本シネマライツ副支配人・柳島健さん

収集活動で広がったつながり

日本が誇る怪獣映画で、CGを駆使したハリウッド版も制作されている「ゴジラ」。東京やニューヨークなどの大都会でゴジラが暴れる場面は現代版も健在だが、昭和の白黒映画では荷車に家財道具を積んで必死の形相で逃げ惑う庶民の姿が生々しく描かれ、当時の子どもたちの恐怖感をかきたてた。
そんなゴジラをこよなく愛する一人が、松本シネマライツ(高宮中)副支配人の柳島健さん(51)。同映画館で昨年、ハリウッド版「ゴジラキング・オブ・モンスターズ」公開記念資料展示があり、ゴジラ関連の大型ポスターや台本など、柳島さんのコレクションがずらりと並んだ。
ほかにも、古き良き時代の日本映画の関連グッズなどを収集している柳島さん。その熱い「映画愛」の一端を見せてもらった。

最初はポスター 監督らと親交も

柳島健さんが映画グッズを集め始めたのは中学生のころ。テレビで放送されたゴジラ映画を見て公害や水爆実験など社会情勢を反映した物語に夢中に。映画好きの兄に連れられて行った新宿の映画グッズ店「道楽」(後に中野ブロードウェイに移転)で、「キングコングの逆襲」(73年公開)のポスターを買ったのが始まりだった。
本格的に収集をするようになったのは、団体職員になって収入を得るようになってから。23歳のころ、「キングコング対コジラ」(62年)のポスターを入手したのが最初だ。その後も、珍しい品を求めて「道楽」に通ったり、20年ほど前には松本市大手の六九商店街で開かれた古本市でも映画の台本などを見つけたりして、コレクションを増やした。
盛んに収集をしていた20代後半には、「道楽」の近くにあったDVD店の紹介で、映画関係者やファンが集まるパーティーに出席、俳優や監督らと親交ができた。「ゴジラ×モスラ×メカゴジラ東京SOS」(2003年)などの手塚昌明監督とは「ゴジラ談議」をする間柄で、監督の誕生会を企画するなど親しくしている。
柳島さんは、04年の「長野市民映画祭」に市民有志ボランティアとして参加し、所有するポスターを展示したほか、ゴジラ映画に出演した俳優やスタッフらのトークショーも企画。ゴジラシリーズや「日本沈没」の中野昭慶・特技監督、初代ゴジラから12作を着ぐるみに入って演じた中島春雄さんらも招いた。
この映画祭で親交を深めた長野市の「千石劇場」のオーナーが「松本シネマライツ」を開館すると聞き、団体職員を辞めて副支配人になった。
映画好きが高じて仕事でも「その道」に入った柳島さん。「今はインターネットでのグッズ売買が多いが、ネットではこうした『人と人とのつながり』はできなかったのでは」と話す。収集活動を通じて知り合った仲間から、柳島さんが持っていない「海外版」ゴジラのポスターを借りて展示したこともある。

上映に合わせて今後も企画展を

松本シネマライツを訪ね、柳島さんが集めたコレクションの一部で、3枚並べると1つのポスターになる「スリーシート」を見せてもらった。それぞれ「地球防衛軍」(1957年)、「ニッポン無責任野郎」(62年)、「エレキの若大将」(65年)、「七人の侍」(海外版、67年)のポスター。映画宣伝のための劇場掲示用として作られた。1枚の大きさは縦103センチ、横52・5センチ。いずれも公開当時のオリジナル版だ。
都内で40年近く営業する映画ポスター専門店「観覧舎」を営む奥野保則さん(66)によると、「ゴジラシリーズや黒沢作品は今も昔も収集家に人気。宣伝用ポスターは本来は非売品。公開当時のものは、かなり貴重な品」という。
今年、同映画館ではハリウッド版「ゴジラVSコング(仮)」の上映を予定。柳島さんは昨年に続き、自身のコレクションの一部を展示する企画展も計画したい考えだ。
(嶋田夕子)