2020.11.19 日本地域情報コンテンツ大賞・タブロイド部門で2年連続優秀賞

「骨髄バンク」体験談と現状

競泳の池江璃花子選手の白血病公表や、28日まで放映されたNHK連続テレビ小説「スカーレット」でも骨髄移植が取り上げられ、関心が高まる「骨髄バンク」。提供できるのは55歳までだが、ドナー登録者の過半数が40歳以上という現状。若い世代の啓発や環境整備などが課題になっています。20代で骨髄を提供した松川村の主婦・遠藤麻衣さん(37)の体験談と、登録方法や提供にかかる負担などを紹介します。

「助けたい」迷いなく提供しやすい環境整備必要

─登録のきっかけは
23歳の時、松本献血ルームで献血をした際に、骨髄バンクの存在を知りました。臓器提供の意思を示す母に同調していましたが、「生きているうちに人の役に立ちたい」と考えていて、その場でドナー登録しました。HLA(白血球の型)の適合通知が届いたのは26歳の時。「やっと私の出番が来た」と気合が入りました。患者を助けたい一心で、迷いはなかった。

─提供までの流れや家族の反応は
健康状態を確認後、家族同席でバンクのコーディネーターと調整医師による同意の最終確認がありました。母は全身麻酔による骨髄液採取のリスクを心配しましたが、私の強い決意と丁寧な説明を受けて納得。父と、当時婚約中だった夫も意思を尊重してくれました。
行動や飲食の制限はなかったが、自分だけの体ではないという緊張感が生まれました。入院は3泊4日。2日目に注射針を腰骨に刺して骨髄を採取。手術後、多少吐き気はあったが、すぐに回復。針の跡もわずかで、今では見えません。有給休暇消化期間に入院し、退院後10日ほどで次の仕事に。体調に問題はありませんでした。現在は4女の母です。

─提供する心境や課題と思うことは
医療者でなくとも、健康であれば人の命が救える。「私でもできたことがあった」と思え、存在意義を気付かせてくれました。提供相手は知らされませんが、家族一同からの手紙には感謝がつづられ「よかった」とつくづく思いました。
患者とHLAが適合した登録者が出ても連絡が取れない、仕事や育児などで都合がつかない─などで提供に至らないケースも多いと聞きます。登録者を増やすのはもちろん、こうした課題を解消する環境整備も必要だと思います。
2度まで提供が可能で、チャンスがあればもう一度提供したい。地域で自分の体験を伝える機会を設けていますが、若い世代に向けたアプローチを考えていきたいです。

【ドナー登録者と患者数】
ドナー登録者は2月末現在で全国で約53万人、県内では約5000人。移植を待つ患者数は全国で約2000人。

【登録条件、方法】
登録は18~54歳の健康な人(体重制限あり)が可能で、実際に提供できるのは20~55歳。病気療養中や服薬中、既往歴などで登録できない場合もある。問い合わせは日本骨髄バンク(℡03・5280・1789)へ。
長野県赤十字血液センター松本献血ルーム(松本市中央1)ほか、県内各献血ルームで受付時間内に随時登録が可能。移動献血車での登録会(同センターホームページを確認)や、中信地区では木曽、大町保健所(要予約)でも登録ができる。

【提供方法】
骨髄提供か末梢血幹細胞(まっしょうけつかんさいぼう)提供の2種類。最終的に患者側が選択するが、提供者が希望しない方法では行わない。前者は3泊4日、後者は5泊6日程度の入院が必要。

【費用負担、時間的拘束、健康上のリスク】
提供にかかわる本人の費用負担はない。日本骨髄バンクは、検査(平日日中に5回前後)や採取のための入院に「ドナー休暇制度」の導入を企業に働き掛けている。「ドナー助成制度」を県内では21市町村(中信地区では大町、塩尻市、木曽、上松、池田町、松川村)が導入している(2月末現在)。通常は退院後から日常生活に戻れる。健康上の被害が生じた事例もあるが、いずれも治療で回復している。