松本市笹賀の伝七商店 犬用“仕立服”でおしゃれに

着せる服に悩み手作りを始めて

きょうから新年度。初々しいスーツ姿の新入社員、昇進や転勤などを機にスーツを新調したサラリーマンの姿も目立つ。既製服で済ませる多くの人間たちを尻目に、オートクチュール(仕立服)をさっそうと着こなすワンちゃんたち―。
犬が家族同様の存在となり、おしゃれな服を着て散歩する場面も珍しくなくなったが、ぴったりした服を探すのが一苦労 ― と悩む飼い主は多い。体格や特徴の違いは、犬種だけでなく個体差もある。
そんなワンちゃんたち用に、おしゃれで動きやすく、フィットした服をオーダーメードしているのが松本市笹賀の伝七商店。3年前にネット販売を始め、昨夏には犬服作り専門になった。自分用のすてきな服を注文してもらえる犬たちに軽い嫉妬を覚えつつ、工房をのぞいてみた。

「愛犬のため」試行錯誤重ね

「うちの子、胴が太くて長く、合う洋服がない」。愛犬でフレンチブルドッグの伝七郎君に着せる服に悩んでいた伝七商店の店主、吉田佳代さん(41)。伝七郎君は寒がりで暑がりでもあり「洋服は欠かせない」が、なかなか合う服が見つけられずに悩んでいた。
デザインや大きさ、素材、用途…。犬種で分けているメーカーもあるものの、「胴回りに合わせると丈が長くなり、排便の時、服を汚してしまう。ぶかぶかだとおしゃれじゃない」と吉田さん。
「それなら自分で作ってしまおう」。そう思い立ち、8年前に伝七郎君の服を作ってみた。洋裁は学校の家庭科以来で、ミシンもしばらく触っていなかったが、「愛犬のため」と一念発起。試行錯誤を重ねた。犬は肩がなく服が後ろにずれやすいといった課題にぶつかった。首の部分をハイネックにしてずれにくくするなど、一つ一つ解決策を見つけながら形にしていった。
趣味で始めた犬服作りだったが、同じ悩みを持つ飼い主も多いことを知り「手助けがしたい」と思うようになり、仕事を犬服作り一本に絞った。型紙の調整から裁断、プリント、縫製、発送と、すべて1人でこなす。
一番の自信作はレインウエア。撥水(はっすい)加工を施した布を使い、裏地には蒸れないようネットを取り付けた。頭がすっぽり入るスヌード(リング状のストール)も作った。
猛暑の夏用には、犬を水でぬらしてから着せると、気化熱で体温が下がる特殊な布を使ったタンクトップや、保冷剤を入れバックルを使って着脱がしやすいクールエプロンなども開発した。
伝七郎君の息子の龍仁君、虎之助君も自分用のレインウエアやタンクトップを作ってもらい、ご満悦。モデルも務め、店の経営にも貢献している。

機能とデザインおそろいの服も

「オーダーメードは助かる。脱ぎ着もさせやすい」。フレンチブルドッグの大将君と琥太良君の飼い主、臼井ゆかさん(54、安曇野市堀金)は伝七商店をよく利用している。寒さ・暑さ対策、抜け毛対策といった機能面はもちろん、おしゃれでかわいいデザインも気に入っている。取材時に着ていたトレーナーは、ゆかさんのパーカともおそろいだ。
吉田さんは友人のデザイナーと協力し、フレンチブルドッグのイラストを作り、シルクスクリーンでプリントした服も製作した。今後、犬とおそろいで楽しめる飼い主用のTシャツやパーカ、お散歩バッグなどの小物も充実させたい考えだ。
レインウエアとスヌードのセットは7900円~、タンクトップ3400円~、トレーナー4900円~。日曜、月曜定休。伝七商店℡050・3709・1076
(八代けい子)