寿小5年の山本君 “世界一”の夢へドラム練習励む

「仲間探してバンド組みたい」

「YOSHIKIを超えて世界一のドラマーになる」。松本市寿小赤の寿小学校5年、山本櫂君(10)は、日本を代表するロックバンド「XJAPAN」メンバーの名を挙げて夢を語る。
3歳のころから、家にあったドラムセットをたたいているうち、その魅力にどっぷりとはまった。「曲中の楽器の音を聞き分けられる」というセンスを生かし、大人と即興でセッションできるまでになった。プロドラマーがその実力を認め、わざわざ足を運び個人レッスンを施すほどだ。
これまで1人でドラムをたたくことが多かった山本君。リードギター、ベース、ボーカル…。同じ年頃の仲間で「小学生バンド」を組み、音楽の楽しさを共有したい─。「一緒にバンドやろうぜっ」

XJAPAN「紅」たたき切る

「ここが僕のスタジオです」と山本櫂君に通された自宅2階の一室。ドラムセットのほか、ベース、アコースティックギター、キーボードと和太鼓が置かれていた。
早速、ドラムの腕前を見せてもらおうと、「XJAPAN(エックス・ジャパン)」の代表曲「紅(くれない)」をリクエストした。「紅」は、山本君が憧れる「XJAPAN」のドラマー、YOSHIKIの超絶なテクニックを世に知らしめた曲だ。「本当にできるのかな?」。リクエストしてみたものの、半信半疑だった。
動画投稿サイトのユーチューブで「紅」を検索した山本君。イヤホンをして曲を聴きながら演奏を始めた。部屋にはドラムの爆音しか聞こえない。だが、2バス(バスドラム2個のセッティング)を連打するなどの特徴的なリズムは「紅」そのもの。思わず「紅に染まったこの俺を~」と歌詞を口ずさんでしまった。山本君は「どや顔」でたたき切った。

プロドラマーの熱心な指導受け

山本君がドラムにはまるきっかけとなったのは、自宅に置いてあったドラムセット。10代のころから「国宝松本城古城太鼓」のメンバーだった母の幸恵さん(42)が「何かの役に立つかも」と、知り合いからもらったものだ。山本君にとって、そのドラムがおもちゃ代わりだった。
幸恵さんが8(エイト)ビートを教えるとすぐにマスター。小学生になると、幸恵さんと一緒に和太鼓も始めた。曲を聞きながら、ドラムパートを「耳コピ」しているうちに、洋楽のロックナンバーなど難しい曲のドラムを次々とたたけるようになった。
昨年末、松本市内のライブハウスで開かれた国宝松本城古城太鼓の忘年会。参加者の一人がギター演奏をすることになった。その場にいた山本君は「僕、ドラムできるよ」と手を挙げ、2人で即興セッションすることに。「全く聞いたことのない曲」だったが、山本君はギターに合わせリズムを刻んだという。「誰が教えるでもないのに、マスターしてしまう」と幸恵さん。
山本君が演奏する様子を動画で記録。昨夏、知り合いを通じて松本市内でライブ活動をしているプロドラマーで「もんた&ブラザーズ」のオリジナルメンバー、マーティー・ブレイシーさん(65)に見せた。「ぜひ会いたい」。そう返答がきた。
山本君の自宅を最初に訪れたブレイシーさんは、ドラムの基礎を教えた。2回目に訪れた今年1月には、課題の楽譜を与えたり、どこでも練習ができるように手で太ももをうつ方法を教えたり。山本君の才能を見込み、熱心に指導した。
「(小学5年では)なかなかない才能を持っている。母親から受け継いだ独特なリズム感があるのでは」とブレイシーさん。ただ、これからは勉強や遊びなど、いろいろなことに興味が出てくる年頃だ。ずっと続けていくには「一緒に楽しめる仲間が必要。バンドが組めたら最高」と助言する。
アドバイスを受け、同じ年頃のバンド仲間を探し始めた山本君。「ドラムをたたいているとすごく落ち着く。早く仲間と音楽をしたい」。未来のプロドラマーはそう言って目を輝かせた。幸恵さんも「地元の子どもたちが集まってくれたらうれしい」と背中を押す。